医療は水に浮かぶ船か?

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2006年07月10日 15:21

 こんにちは。
 外科医出身の研究者の中村です。医療政策、医療経済、医業経営を専攻しています。

 最近、医療というのは社会という水に浮かぶ船のようなものかと考えています。

 いくらよい医療体制を作ろうと思っても、水に船を浮かべる余力がなければうまく行きません。あまりに海が荒れてしまえば、船は木の葉の如く沈んでいきます。また、医療という船がいくら良いものでも、神ならぬ身の人間が作り出す以上、どこか欠けたものとなることは避けられません。沈まぬ船は望むべくもありませんから、これをどう上手に漕いでいくかが国民や政策立案者に問われています。

 船に乗り込んだ医者、看護師をはじめとした医療者、事務員や経営者、あるいは政治家や官僚にとっては、効率のためにはできるだけ多くの患者さんを運びたいところですが、あまりに積みすぎれば船は容易にひっくり返ることとなります。天候や海の荒れ具合を見ながら、適切な喫水を塩梅して船出する必要があります。

 自分の仕事は、船の周りをぐるぐると回りながら、船が沈みかけていないか、あるいはあまりにも積み荷が少なくないかを観察するようなものかも知れません。

 よろしくお願いします。

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