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糖尿病との賢いつきあい方

血糖値が高いと、体はこうなってしまいます。
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 1型糖尿病を放置すると昏睡状態を起こし、最悪の場合死に至ることもあります。これが急性症状です。2型糖尿病では、むしろ毛細血管の障害で様々な症状を引き起こす慢性症状を心配した方がよいかもしれません。
 血糖値が高いと、過剰な糖分が血液中のたんぱくと結合して、血管の壁をボロボロにします。糖尿病では特に毛細血管が傷みやすいことがわかっています。
 毛細血管がやられるのが問題なわけですから、糖尿病によって傷みやすいのは毛細血管が集まっている臓器です。代表的なのは眼、腎臓、神経の3つ。糖尿病を放っておくと「失明する」とか「人工透析が必要になる」とか「足が壊疽になる」とか言われるのは、こういう理由からです。
 また糖尿病では、細い血管に加え太い血管も障害されます。これが動脈硬化です。
 「動脈硬化」と聞いて、おや? と思った方いますね。そうです。前号の特集で扱った高血圧も動脈硬化を起こすのでした。当然ですが、糖尿病と高血圧が重なると重篤な合併症の発症リスクがさらに上昇します。
 このように糖尿病を放置したり正しく治療しないと、重大な血管合併症を引き起こします。ただし、ちょっと血糖値が高い程度だと、なかなか自覚症状が現れません。気づいた時には手遅れになりかねないので、一大事になる前に調べて対処することが大切です。
 危険を予知するのに最もよく使われるのは血液検査。ヘモグロビンA1c(HbA1c)という数値を見れば、検査をした日から1~2カ月前までの血糖値の平均がどの程度か分かります。健康診断や検査の直前だけ節制する人がいますけれど、血糖値は下がっても、HbA1cは影響を受けません。
 眼の場合、眼科で眼底を診てもらえば毛細血管の様子を直接調べられます。血管にコブがあったり、出血の跡があったり、新しく血管ができていたりしたら要注意です。放っておくと失明に至る危険があります。
 腎臓の場合は、尿検査が有効。アルブミンなど、体にとって大切なタンパクが検出されたら、それは腎臓が傷んで血液を濾す網の目が粗くなっている証拠です。この段階で止められず、血液検査でクレアチニンなど有害物質の濃度が上がってきたら、さらに重症になったことになり、人工透析に至ることもあります。
 神経の場合、足に痛い、熱い、冷たい、しびれるといった異常な感覚を感じたら要注意です。放っておくと、やがて何も感じなくなり、傷があるのに気づかず細菌に繁殖を許したりします。

妊婦はご用心を!  妊娠時に母親が高血糖状態だと、胎盤の成長が不完全になりがちで、早産、死産、先天異常のリスクが高いことが知られています。  母体にとっても、妊娠は大きな負担です。胎盤から出るホルモンなどによってインスリンが効きにくくなり、糖尿病発症の危険が増えます。また、栄養も老廃物も2人分処理するので、心臓や腎臓に合併症の起きる危険性が増えます。  特に肥満の女性や家族に糖尿病患者のいる女性が妊娠・出産を考えているなら、医師に事前に相談しましょう。妊娠中は血糖値を下げる内服薬を使いません。食事療法とインスリン注射で血糖値をコントロールを行うことになります。

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