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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

在宅医療のABC

7-2-1.JPGあなたは人生最期の時を医療機関で過ごしたいですか。
それとも住み慣れた場所で過ごしたいですか。
後者の方々を支えるのが、今回のテーマ「在宅医療」です。

監修/神津仁 全国在宅医療推進協議会理事長
    小野沢滋 亀田総合病院在宅医療部長
    川越正平 あおぞら診療所所長

病院が終の棲家ですか?
7-2.1.JPG まずは上のグラフをご覧ください。医療機関で最期の時を迎える人の割合が年を追うごとにどんどん増えて、現在は8割を超えています。厚生労働省の調査によれば、末期患者の6割が自宅で死を迎えたいと思っているというのに、このギャップは一体どうしたことでしょう。
 命にかかわる病なのだから、入院して当たり前。こんな風に思う人もいるかもしれません。でも本当は、病人だからといって、必ずしもそれまでの生活と切り離される必要はないのです。
 かつては、命にかかわる病のかなりの部分を、結核やチフス、コレラといった感染症が占めていました。これらの病は、「治療が短期勝負」「キレイさっぱり治る」「伝染する」という特徴があります。しばらく我慢すれば普通の生活に復帰できるかもしれない一方で、我慢しないと他人に伝染するわけですから、患者本人の気持ちがどうであろうが、社会から隔絶した空間へ患者に入ってもらうこと(=入院)は、社会全体の利益を考えると合理的な選択でした。
 しかし今や大部分の人が亡くなるのは、がんや脳卒中、心不全など。これらの病は、「慢性」「完全には治らない」「伝染しない」のです。我慢しても元の体に戻るわけでもありません。社会と隔絶させることに、あまり意味はないのです。
 もちろん、手術や集中治療は入院しないと不可能ですし、入院していれば容態急変を見逃されることも少ないでしょう。でも、入院病棟で行われているほとんどの医療は在宅でも可能なのです。
 となれば、病気だからといって生活を極力変えたくない、住み慣れた場所で医療を受けたい、と願う人が出てくるのも当然の話です。
 これだけ読めば理にかなった話のように思えるはずですが、実際には患者さんが在宅医療を受けたいと願っても、なかなか希望がかなえられない現実があります。
 それはなぜなのか、どうしたらよいのか、一緒に考えてみませんか。

医療費抑制の切り札?  4月からの診療報酬改定で「在宅療養支援診療所」というカテゴリーが新設されました。医師や看護師が24時間訪問できる体制を作るなどの条件を満たせば、患者さんを在宅で看取った場合に1万点(10万円)の加算を受けられるなど、医療機関は今より多くの収入を得られます。  全体では診療報酬が引き下げられる中、このように在宅医療が優遇されるのは、特に老人の終末期医療について、入院より在宅の方が安くつく、と厚生労働省がみているからです。  ただし現場で在宅医療に携わる人たちは、医療費抑制の側面ばかりが強調されるのに違和感を抱いていると共に、これで本当に在宅医療の担い手が増えるのか半信半疑のようです。

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