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全身老化のサイン? 歯周病
もともと歯周病は、非常にゆっくり進行するもの。口の中の変化になかなか気がつきにくく、かなり進行しても自覚症状が少ないのが普通です。口の中は、もともとは髪の毛一本が入っても不快というぐらい敏感なのですが、慢性に進行した病変には意外と鈍感。しかし、はっきり感じられるようになってからでは遅いのです。
歯周病の初期症状として参考になるものは次のようなもの。まだ歯肉炎の段階です。
●歯肉が赤みを帯びる。
●歯肉が腫れぼったい。
●小さな刺激で歯肉から出血。
とくに歯ぐきからの出血は歯周病の兆候の典型的サイン。侵入してきた歯周病細菌に対し、免疫反応として白血球をその前線(歯周組織)に送り込むため、歯肉の内部に毛細血管の網が張りめぐらされます。そのため歯肉が赤みを帯びて、ちょっとした刺激でも出血しやすくなるのです。ただし、ここでいち早く気づいて治療すれば、比較的容易に治せるとのこと。
しかし、歯周病が進行すると、しだいに次のような症状が現れてきます。
●歯肉を押すと歯肉溝から膿がにじみ出る。
●歯が動く。
●歯並びが変化する。
●歯肉が急性の化膿性の腫れを繰り返す。
●歯が長くなった気がする。
●歯肉が減って、歯根が伸びたように見える。
●口臭を自分でも感じる。
そもそも口臭原因のほとんどは、歯周病あるいは口腔が不潔になったために沈着したプラークが原因。歯周ポケット内の歯周病細菌と舌の表面を覆っている白色~黄色の堆積物(舌苔。口の中の老廃物と細菌からなる)から、揮発性硫化物(腐った卵のようなにおいのする硫化水素や、腐った野菜のにおい、磯臭いにおいのする成分など)が発せられているのです。ですから慢性的に口臭が気になる場合は、まず歯周病を疑ってみる必要があるというわけ。
さて、こうなってくると、すでに歯周組織がひどく侵されてきている状況なので、もとの状態に戻すのはまず困難です。いずれにしても総合的に歯科治療をしなければなりません。
なお、歯ぐきの健康のバロメーターとなるのが、歯周ポケットの深さ。健康な歯ぐきでは1~2ミリのところ、中程度の歯周炎があると3~5ミリ、さらに進行すると6ミリ以上になることもあるのだとか。とはいえ残念ながら、歯周ポケットの深さは歯科医に診てもらわないとわからないとのことです。
やはり日頃から「歯周病は自分でも気づく」と考え、鏡で毎日チェックして、できるだけ見た目の小さな変化にも感心を持つことが肝心。初期症状を見のがさないことが大事なのです。
冷たいもので歯がしみるのも歯周病? 歯周病が進行すると、歯がしみるようになることがあります。また、歯周病治療を受けた直後に起こることもあります。これは象牙質知覚過敏という症状。冷たいものなどの刺激に対し、歯の中の歯髄神経が過剰に反応してしまう状態です。歯周病のために歯肉が減り、さらに過度のはみがきで歯の表面が削れ、歯の髄へ刺激が伝わりやすくなってしまうのです。