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食べるべきか食べないべきか、それが問題。食物アレルギー
少しでも食物アレルギーが疑われる場合は、医療機関での適切な検査・診断を経て、正しい指導・治療を受けることが大切です。
診断の流れは次のとおり。
①病歴チェック
症状、食事内容(何をどれだけ、どのように食べたか)、飲食から症状が出るまでの時間や運動の有無などの病歴を、問診で確認します。飲食の記録を日誌につけていくもの◎。さらにスキンケアや室内環境などの情報もあわせ、アレルゲン食品を推定します。
②アレルギー検査
推定された食品について、さらに血液検査や皮膚テスト等の検査を行います。
③食物除去試験
疑わしい食品を1~2週間、完全に食事から除き、症状の改善がみられるか観察します。
④食物経口負荷試験
確定診断を得るため、可能な限り実際に食べて、症状が現れるか調べます。必ず専門医・看護師が付き添い、万全の準備のもとに本人の体調を見ながら行います。すでにアナフィラキシーなど重篤な症状をひき起こした食品については原則として行わず、ひき起こしやすい食品については入院して行う場合もあります。
さて、治療の基本は、原因となる食品を食べないようにする食事療法が基本となります。重要なのは、アレルゲン食物を除去するだけでなく、代わりになる食品によって必要な栄養素を補うこと。加熱など調理・加工方法によってアレルゲン性が低下あるいは消失して、食べられるようになるものも多いのだそうです。
薬物による治療は、あくまで補助的なもの。それぞれの症状に応じて薬を使用することになります。きちんと医師と相談して自分にあった薬剤を使用することが肝心です。過去に重い症状が出たことのある人は、万一のときの薬をあらかじめ担当医に処方してもらっておきましょう。アナフィラキシーの自己注射薬も命を救うことになるかもしれません(コラム)。
なお、残念ながら現時点では、症状が現れるのを確実に予防できる薬も根治できる治療薬もありません。食事や生活環境の整備に気をつけて症状を予防しながら、できるだけ普通の生活を送ることが、当面の目標というわけです。しかし、食物アレルギーは年齢とともに症状が出なくなることが多いもの。一定の期間をおいて負荷試験を行い、陰性であれば医師の指導に基づいて再び飲食が可能になることもめずらしくないそうです。
アナフィラキシーの自己注射薬 最悪の場合は命を落とすアナフィラキシーショック。この症状を抑える薬が「アドレナリン」です。心拍数を増やし、血圧を上げ、気管支を広げて呼吸しやすくする効果があります。一刻も早く簡単に使えるよう開発されたのが、その自己注射薬。太めのペンほどの大きさで、安全キャップを外して太ももの外側に先端を垂直に強く押しつけるだけ。注射針が飛び出して皮膚に刺さり、薬剤が注入されます。米国では25年前から、日本でもようやく数年前に発売されるようになりました(商品名・エピペン注射液)。せき込みや吐き気、唇の腫れ、しびれなど、初期症状を見逃さずに速やかに使うことが重要です(子どもの場合は親が注射可能)。ただし、あくまで応急処置。注射後は必ず医療機関へ。