その胸の痛み 狭心症・心筋梗塞では
まず、狭心症の自覚症状を説明します。
多いのが、前胸部の痛みや圧迫感です。冷や汗や口の渇きを伴います。痛みの部位は、胸だけでなく左肩から左腕の内側、背中、のど、あご、歯へも広がることがあります。みぞおちに胃の痛みのように感じられることもあります。場所は、あまりはっきりせず人差し指では指せません。痛みではなく息切れや胸焼け、動悸として感じられることもあります。症状が続くのは数十秒から数分です。
ただし感じ方や位置、その程度は人によって非常に異なります。中には、血液の供給が不十分でも、まったく痛みを感じない人もいます。特に糖尿病患者は、胸痛が軽かったりなかったりで、突然死することもあり注意が必要です。
また高齢者では、症状の現れ方が異なることがあります。たとえば、背中や肩に痛みが出て筋肉痛や関節炎と勘違いするとか、胃のあたりが痛んで消化不良や胃炎と間違われるといったことがあります。
心筋梗塞の症状は狭心症と似ていますが、より激しく長く続きます。その他、気が遠くなる、突然激しく汗をかく、吐き気を催す、息切れ・動悸がするなどがあります。同時に不整脈を起こすことが多く、場合によっては心停止したり失神したりすることもあります。
狭心症の診断は、患者の申告から
心筋梗塞は症状が激しいうえに、心電図を取るとすぐに分かるので、すぐに治療へ移行します。
狭心症は、発作がない安静時の心電図検査だけでは、なかなか検出できません。患者が述べる痛み・圧迫感の種類、痛む場所、どんなときに症状が現れるか、が診断の参考になります。危険因子(表参照)がどの程度あるかも参考にされます。
試験的に血管拡張薬のニトログリセリンを発作時に口にふくませてみることがあります。狭心症なら、3分足らずで痛みが軽くなります。
狭心症らしいということになると、表のような検査を行って、心筋への血液供給がどの程度不足しているか、原因は動脈硬化か冠攣縮か、動脈硬化ならどの程度進行しているかを調べます。
その検査結果を参考に治療法が選択されます。
危険因子偏った食事
特に脂肪が多く、ビタミンや繊維の少ないものはダメ。青魚はよい。野菜や果物を取るべし。男性
エストロゲン(女性ホルモン)には動脈硬化を防ぎ心臓病を予防する働きがある。閉経前の女性は危険性が低い。心臓機能の低下
悪循環が起きる。血圧が高い
肥満
特に内蔵脂肪が要注意。(メタボ)=06年12月号参照運動不足
コレステロール値
低密度リポタンパク(LDL=悪玉コレステロール)が高いと危険。逆に高密度リポタンパク(HDL=善玉コレステロール)は低いと危険。中性脂肪値が高い
加齢
家族歴
近親に55歳未満でこの病気を発症した人がいる。糖尿病
自覚症状が軽いことにも注意が必要。