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5分ルール
真の狙いは医療費抑制
外来管理加算は、再診の際に超音波検査など特定の検査や処置などが何もなかった場合に必要となる料金で、52点(1点10円)です。再診料に上乗せされます。例を挙げましょう。初診時に処方された薬がなくなったので再び来院した患者に、医師が「調子はどうですか。お変わりはありませんか?」と尋ねます。患者が、「ありません。いつもの薬を下さい」と答えたので、「では処方せんを書きましょうね」と言って患者に渡します。このような場合、再診料にプラスして算定できるのが「外来管理加算」でした。
ところが、厚労省はこれでは不十分としました。医師が患者の療養上の疑問に答えたり、病状や療養上の注意を説明したりしなければ、外来管理加算を算定できないとしました。「懇切丁寧な診療をすれば5分以上はかかるだろう」という説明です。
しかし、懇切丁寧な説明を評価するならば、独立の診察料にすべきだったのです。そうではなく、外来管理加算の算定要件にしたところがポイントです。説明しましょう。
外来管理加算を審議していた当時、厚労省の担当者は「お薬外来をなくしたい」と話していました。つまり、医療費を削減する手段として、「無診察投薬の禁止」を徹底させようという狙いがあったのです。 診察をしないで薬を処方する「無診察投薬」は医師法で禁止されていますが、実際の運用はあいまいでした。例えば、受付に「お薬だけの方」という箱を置いて、薬をもらうだけの患者はそこに診察券を入れます。この場合、受付の事務員が医師を通さずに処方せんを書いてしまうことは違法です。
では、事務員が医師にカルテを回して事情を説明し、医師がカルテにサインして前回と同じ処方せんを出した場合は駄目でしょうか。また、寝たきりの患者に代わって家族が薬をもらいに来た場合はどうでしょう。慢性疾患で何度も来院している患者と対面して診察しなくても、電話で十分に話した場合は「無診察」と言えるのかなど、あいまいな点がありました。
そこで、厚労省は「お薬外来」の"グレーゾーン"をなくすため、患者と診察室で直接対面した上で、5分程度の丁寧な説明をしないと外来管理加算を取れないように制限をかけたのです。つまり、薬だけの場合、おおむね5分以上の診察を受けなければ、外来管理加算は必要なくなりました。患者にとっては一見良さそうに思えますが、診察を受けるために長い時間待つよりも、薬だけをもらって帰りたい患者もいますので、評価は分かれるところです。
外来管理加算 再診の際、リハビリや処置などをしない医療(医学管理)を行った時に算定されます(520円)。「入院中の患者以外の患者(外来患者)に対して、厚生労働大臣が定める検査ならびにリハビリテーション、処置、手術などを行わず、計画的な医学管理を行った場合は、外来管理加算を算定できる」と定められています。