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放射線って何? きほんのき


放射線いろいろ、線源もいろいろ

 皆さんがとても恐れているであろう被ばくについて説明する前に、もう少しだけ基本情報をご覧いただきたいと思います。マスコミ報道は、この辺りの説明が不十分なものばかりでした(きちんと理解していたのかも甚だ怪しいところです)。
 まず、一口に放射線と言っても何種類もあり、それぞれ性質が異なります(下図参照)。
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 同様に放射線源にも、いくつもの種類があり、形状、出す放射線の種類やエネルギー、半減期が異なります(表2参照)。
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 人類の利用の仕方も一様ではありません(コラム参照)。十把一絡げの議論は、現実からかけ離れたものになっている恐れがあります。
 ただ、放射線の世界では様々な単位が使われており、そのためにただでさえ分かりづらい話がさらに分かりづらくなって不安を増幅してしまうことも確かです。それぞれの単位が何を表しているのか分かってくると、政府や専門家の出す情報も理解しやすくなるので、少しじっくり表をご覧ください(表3参照)。
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人類の利用

A:原子力発電

 現在の日本のほとんどの原子炉(プルサーマルを除く)は、ウラン235を核分裂させ、その際に発生する熱を水を経由して取り出し、水蒸気でタービンを回して発電しています。
 これは、ウラン235に中性子を吸収させると、分裂と同時に中性子を放出し、その中性子がまた別の原子に吸収され、という連鎖反応を利用しています。
 ウラン235を一定以上の密度に集めると、何もしなくても分裂の連鎖が始まる「臨界」になり、加速度的に連鎖反応が進みます。核暴走と言います。これを兵器として用いたのが原子爆弾です。
 なお、プルトニウム239は、ウランより容易に臨界になる危険な物質ですが、原子炉の中で勝手に生成されてしまいます。また、中性子は様々な元素に入り込んで放射性に変えてしまう性質があります。純粋な水は影響を受けないため、核燃料の周囲の水は、熱を取り出す以外に、中性子の減速・捕捉という役割も持っています。
 ウランやプルトニウムが核分裂すると、さらに放射性元素がいくつもできます(表2参照)。これらが安定した元素に変わるまでの間、熱や放射線を出し続けます。いずれにせよ発電に用いるのは熱だけで、放射線は原子炉内に閉じ込めることになっています。

B:X線検査

 X線が物体を透過し、その割合が物質ごとに異なることを利用して、表面からは見えない内部の様子を画像化しています。CT検査も、基本原理は同じです。

C:がんへの放射線照射(近日、別途特集します)

 腫瘍を狙って1回2Gy程度を複数回照射し、がん細胞を殺そうとするものです。当てる部位と線量の管理が重要です。機械によって、用いる放射線はX線、β線、γ線、陽子線、重粒子線など様々です。セシウム、イリジウム、ヨード、リン、金などの放射性元素を患部に直接当てる小線源治療も行われています。

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