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昔も今も医食同源 栄養の過剰と欠乏


糖質、脂質、たんぱく質の過剰

 エネルギー過剰で悪いことが起きるにも、いくつかの経路があります。
 代表的な一つを挙げると、過剰分のエネルギーが内臓脂肪として蓄積され、その内臓脂肪が体に悪さをして(06年12月号「メタボリック・シンドローム特集」参照)、高血圧(05年12月号参照)、代謝異常(06年1月号「糖尿病特集」07年7月号「脂質異常症」参照)、慢性腎臓病(07年5月号参照)などをもたらし、その先に動脈硬化から致命的な心臓発作や脳卒中、腎不全などを引き起こすというのがあります。他の経路も、たいていは動脈硬化に行き当たります。
 あまりにもズラズラと病名が続いたので驚いたかもしれませんが、それだけエネルギー過剰(食べすぎ)は体に悪いということです。そして適量か食べすぎかを満腹感(本能)で決めたらダメなのは、最初に述べた通りです。ただし一方で、厳密にカロリー計算しなければ何も分からないというものでもありません。
  「過剰」というのは、日々使うエネルギーに対して多いか少ないかという相対関係。使う量より多ければ脂肪として溜まりますし、少なければ痩せていきます。
 日を追うごとに体重が増えていくという人は、日常生活でエネルギー過剰になっていると考えて間違いないでしょう。食べる量を減らすか、運動するなどしてエネルギー消費を増やすかして、体重の変わらない適量を見つけてください。記憶だけではアテにならないので、何を食べたか記録する習慣を持つと適量を見つけやすいでしょう。
 この現代人が過剰になりがちなエネルギーは、糖質、脂質、たんぱく質の形で体に入ってきます。
 糖質は糖に分解されてエネルギーになります。特に脳細胞は糖しか使えません。摂取した分を使いきれば問題ありませんが、余ると中性脂肪に変化して内臓脂肪として蓄えられます。ただし足りないと、体の材料のはずのたんぱく質をエネルギー源として使い出して体を壊しかねませんし、脂質を有効に使えなくなるので毎日の適量摂取は必要です。
 脂質は、エネルギーになるものと細胞膜やホルモンなどの材料になるものとがあります。前者が中性脂肪、後者がコレステロール(07年7月号「脂質異常症」特集参照)。現代日本人が取り過ぎているものの代表格なので総量を控えることが大切ですが、その部品である脂肪酸の種類によっては欠乏に気をつけないといけないものもあります(コラム参照)。
 たんぱく質は主に体の材料となります。糖質が不足した特は材料に回らずエネルギー源になります。ちなみに、たんぱく質とはアミノ酸がたくさんくっついたもののこと。食品によってたんぱく質に含まれるアミノ酸の種類が異なります。卵、肉類、魚、大豆食品、米をバランスよく組み合わせることが大切です(06年1月号参照)。ただし肉類の場合、同時に飽和脂肪酸も大量に摂取することになります。
 たんぱく質が余った場合は基本的に尿から排泄されるので、過剰を過度に気にする必要はありませんが、腎臓には負担となります。また、排泄の際にカルシウムを道連れにするので、飽食の現代日本でも不足しがちなミネラルの代表であるカルシウム不足を助長する可能性があります。

欠乏注意の脂肪酸 n-3系とn-6系
 脂質の部品である脂肪酸は、内部の炭素原子が何個の水素原子と手を結ぶ余地を残しているかによって飽和脂肪酸(0個)、n-9系不飽和脂肪酸(1個)、n-6系不飽和脂肪酸(2個)、n-3系不飽和脂肪酸(3個)に分けられ、またその内部でも何種類かあります。
 それぞれをバランスよく摂取することが大切ですが、現代日本人の食生活だと、ある種の植物油に含まれるn-6系脂肪酸(リノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸など)や魚などに多く含まれるn-3系脂肪酸(αリノレン酸、EPA、DHAなど)の摂取が足りなくなる可能性があります。
 これらを適量摂取すると、動脈硬化予防などの効果があると知られています。

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