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「血圧が高い」とは、こういうことです。
 血圧とは、血液の流れが動脈の壁を押す圧力のことです。血が流れていれば必ずあるもので、生きている証といっても構いません。
 健康診断などでも必ず測りますが、いったいなぜだか、ご存じですか?
 特に痛い思いもなしに、短時間で体の中の様子をうかがい知ることができるからなのです。血圧の高い低いでいったい何が分かるかというと、主に次の3つです。①心臓の収縮する力②血液の量③血管の硬さ。要するに血流と血管とのバランスですね。
 ここまでの説明ではいま一つピンと来なかったかもしれません。血管を、曲がりくねったトンネルの産業道路に例えるとイメージしやすいでしょうか。道路の下流には積荷の到着を待っている町があると思ってください。
 ①は、道を通るトラックのスピードにあたります。②はトラックの量、③は道路の幅に例えられます。硬さと幅とは関係なさそうですが、血管が「硬くなる」とは実は幅が狭くなることでもあるので、この比喩が成り立ちます。
 で、トラックが粛々と流れているうちは良いのですが、時折、カーブを曲がりきれなかったトラックが壁をこすったり、もしくは振動で壁のタイルが落下したりするようなことが起きます。これが「高血圧」です。壁が崩落したら道が塞がってしまいます。でも壁を傷めるからといって全面通行止めにするのでは下流の町が困ってしまいます。
 トラックのスピードが速すぎると壁への衝撃が大きいとか、通行量が多すぎると壁をこする回数が多いとか、道が狭すぎるとやはり壁への影響が大きいといったことは、イメージできると思います。
 ですから、「血圧が高いですね」と言われたら、①心臓が働きすぎているか②血液の量が多すぎるか③血管が硬すぎる、のだなと理解してください。なんだか心臓と血管に悪そうな気がしませんか。
 測るときには、必ず数字を2つ見ます。数字の大きい方(いわゆる「上」で「収縮期血圧」といいます)は、心臓がギュッと縮んで血を動脈へ押し出した時のもの。小さい方(「下」、「拡張期血圧」)は、膨らんだ大きな血管が徐々に血液がさらに下流に送られる時のものです。
 上と下とでこのように血の流れ方が異なるため、2つの数字を見る意味があるのです。どちらの数字も同じくらい大事です。

日本は海洋国なので塩を多く取りがちです。  塩分が血圧を上げるというのはご存じですね。塩の成分のナトリウムが溶け込んで血が濃くなると、これを緩和するために血管に水が入ってきて血流量が増えるからなのです。過剰なナトリウムと水を尿として出さないといけないので、腎臓の悪い人にとっては負担です。交感神経を刺激して、心臓にムチ打つ方向に働くともいわれています。  歴史的に見ると人類は1日に3g塩を取れば十分足りるようです。一方で現代の日本人は1日12g程度摂取しています。海に囲まれていて塩が豊富なだけに、保存や味付けの基本に入り込んでいます。ご存じと思いますが、醤油や味噌なども味のもとになっているのは塩です。漬物にも干物にも使われています。よほど気をつけないと取り過ぎてしまいます。  現行の食品表示では、塩分量でなくナトリウム量が書かれるようになっています。2.5倍すると。およその塩分量に換算できます。

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