検査の現場から7
睡眠時無呼吸の検査はこうします
東京大学病院検査部講師
高井大哉
睡眠時間は十分取っているのに、朝起きても眠気が取れない、昼間もつい居眠りがちで、仕事の上でもミスをしてしまう......。これに加えて夜間の大きないびき、繰り返す呼吸の停止、このような状態を睡眠時無呼吸症候群と呼んでいます。もともと、強度肥満者の多いアメリカでは1970年頃から疾患概念が確立され、肥満に伴う糖尿病、高脂血症、高血圧を合併していることから、動脈硬化に伴う心血管障害(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞などのリスクを高めていることも知られていました。
日本では2003年に山陽新幹線の運転士が睡眠時無呼吸症候群に伴う居眠り運転をしたことで一気にその関心が高まりました。日本人は下顎骨が西洋人に比べて小さく、それ程太っていなくても、睡眠中に舌根が落ちることで上気道が閉塞してしまうのです。
以前は正確な病状評価のためには沢山のセンサーを体につけて入院検査をするポリソムノグラフィーを用いていましたが、最近では簡易型の携帯式睡眠時無呼吸モニターが普及したことで外来でも検査が行えるようになり、多くの施設でこの疾患に対する診療が行われています。
1時間あたりの無呼吸イベントの回数が診断と重症度の目安になりますが、重症の場合は夜寝る前に鼻マスク式の人工呼吸器を装着して夜間の呼吸を助ける必要があります。軽症の場合は多くの患者さんが肥満を伴っていることもあり、LOHASのコンセプトからすれば、まず減量が診療の第一歩となります。また、夜間に口に入れて、下あごを持ち上げるマウスピースが有効な場合もあります。小児では扁桃腺やアデノイドの腫れが原因の場合も多く見られ、耳鼻科で手術することで症状がなくなることもあります。
夜間の大きないびきと呼吸停止、こんな症状を家族に指摘されたら、一度受診をおすすめします(病院により、担当の科が違う場合があります。お近くの病院にお問い合わせ下さい)。