検査の現場から8
白血球数の異常についてお話しします
東京大学病院検査部
小池 由佳子
末梢血液中には赤血球、白血球、血小板の3系統の血球が存在し、それぞれ組織への酸素の運搬、貧食・殺菌作用や免疫反応の制御、止血機構に重要な役割を果たしています。今月号では血算検査の異常のうち、貧血と同じようによくみられる白血球数の異常についてお話します。
一般的には白血球数が基準値を超えて増加した場合(10000/μl以上とすることが多い)に白血球増加といい、逆に白血球数が基準値以下(4000/μl未満とすることが多い)に低下した場合に白血球減少と呼びます。
しかし軽度の白血球増加および減少は健診などでも経験し、必ずしも数の異常がすぐに疾患に結びつくというわけではありません。白血球数に限っていえば基準値と呼ばれるものは多くの健常者がそお値の中に入るというもので、そこから少しでもはずれればすぐに病的というものでもありません。
はっきりとした原因がないにもかかわらず白血球数が常に10000/μlを超えたり、逆に継続して3000/μl台ということもあります。増減の程度、以前の検査値との比較、白血球分画の異常、赤血球・血小板の増減を伴うかどうかなど、総合的な判断が必要です。
白血球数の増加がみられ、その分画の比率から好中球が増えている場合には、おおまかにいって感染症(とくに細菌によるもの)、血液疾患、慢性炎症などがあります。また喫煙によっても白血球数が増加することがありますが、この場合は好中球が増えることが多いです。リンパ球増加の場合には感染症(ウイルスによるもの)や血液疾患を考えます。好酸球増加はアレルギー疾患などでおこります。服用中の薬が数の増減に関与している場合もあります。
検査値の異常を過度に心配する必要はありませんが、原因を突き止め対処することが大切です。過去に採血した時の自分のおおまかな白血球数を知っておくことも重要です。