壊れて分かるありがたさ 慢性腎臓病、腎不全
要注意信号は何? 検査は何を見ているの?
腎機能の大部分が失われる「腎不全」になると、体内に老廃物が残ったりホルモンバランスが崩れたり、体内水分量の調整がうまくいかなくなったりして、右表のように生命に関わる症状がいろいろと出てきます。
腎機能を低下させた原因がハッキリしており、その原因が急に起きてきた「急性腎不全」の場合は、原因を治療することで元通りの生活への復帰をめざすことができます。しかし何割かは慢性腎不全へ移行してしまいます。
一過性でない「慢性腎不全」の場合、腎機能を正常に戻すのは不可能です。自覚症状が出た時には相当腎臓が壊れていることも多く、透析(次項コラム参照)か腎臓移植しか手がないということも少なくありません。こうなると、週に3回の透析通院など生活に大きな変更が必要です。何とか透析導入になる前に食い止めたいところです。
では、症状の出てくる前に腎臓の障害を見つけるには、どこに気をつければ良いでしょう。実は定期健診が意外と役に立ちます。
腎臓に流れ込んだ血液は、まず糸球体で濾過されるのでした。本来であれば、タンパク質や血球などの大きな物質は毛細血管の外へ出られません。
しかし糸球体が傷むと、多量のタンパク質や血球成分が尿中に出てくることがあります。もちろんタンパクや血球成分が出たからといって必ずしも糸球体の障害とは限らず、激しい運動や高熱、重症の高血圧などでも出ます。血尿に関しては、尿路結石や膀胱炎など他の疾病の可能性もあります。
次に糸球体の血液濾過量が減っている場合、本来であれば尿中に捨てられていなければならない物質が血中に残ることになります。これらの物質量を血液検査でチェックします。指標として用いられる代表的なものが、尿素とクレアチニンです。
尿素は、細胞中でタンパク質が消費された後の「カス」です。実際には尿素中の窒素である「BUN(尿素窒素)」の血中濃度を調べます。クレアチニンは、筋肉が作り替えられる際に出てくる、やはり「カス」です。
腎機能が落ちればこれらの数値は上昇し、腎機能が良ければ(回復すれば)低下します。
ただしBUNは、肉をたくさん食べたり、逆に食事を全然取らなかったり(身体の筋肉が分解される)しても、腎機能と無関係に上昇します。
これらの数値で腎臓に障害がある可能性が高いということになると、腎臓単独の障害なのか、生活習慣病など原因疾患が他にあるものなのかを検討し、場合によってはエコー、X線やMRIなどの画像診断を行ったり、細胞を直接採取して様子を見る「生検」を行ったりもします。
腎機能の大部分が失われる「腎不全」になると、体内に老廃物が残ったりホルモンバランスが崩れたり、体内水分量の調整がうまくいかなくなったりして、右表のように生命に関わる症状がいろいろと出てきます。
腎機能を低下させた原因がハッキリしており、その原因が急に起きてきた「急性腎不全」の場合は、原因を治療することで元通りの生活への復帰をめざすことができます。しかし何割かは慢性腎不全へ移行してしまいます。
一過性でない「慢性腎不全」の場合、腎機能を正常に戻すのは不可能です。自覚症状が出た時には相当腎臓が壊れていることも多く、透析(次項コラム参照)か腎臓移植しか手がないということも少なくありません。こうなると、週に3回の透析通院など生活に大きな変更が必要です。何とか透析導入になる前に食い止めたいところです。
では、症状の出てくる前に腎臓の障害を見つけるには、どこに気をつければ良いでしょう。実は定期健診が意外と役に立ちます。
腎臓に流れ込んだ血液は、まず糸球体で濾過されるのでした。本来であれば、タンパク質や血球などの大きな物質は毛細血管の外へ出られません。
しかし糸球体が傷むと、多量のタンパク質や血球成分が尿中に出てくることがあります。もちろんタンパクや血球成分が出たからといって必ずしも糸球体の障害とは限らず、激しい運動や高熱、重症の高血圧などでも出ます。血尿に関しては、尿路結石や膀胱炎など他の疾病の可能性もあります。
次に糸球体の血液濾過量が減っている場合、本来であれば尿中に捨てられていなければならない物質が血中に残ることになります。これらの物質量を血液検査でチェックします。指標として用いられる代表的なものが、尿素とクレアチニンです。
尿素は、細胞中でタンパク質が消費された後の「カス」です。実際には尿素中の窒素である「BUN(尿素窒素)」の血中濃度を調べます。クレアチニンは、筋肉が作り替えられる際に出てくる、やはり「カス」です。
腎機能が落ちればこれらの数値は上昇し、腎機能が良ければ(回復すれば)低下します。
ただしBUNは、肉をたくさん食べたり、逆に食事を全然取らなかったり(身体の筋肉が分解される)しても、腎機能と無関係に上昇します。
これらの数値で腎臓に障害がある可能性が高いということになると、腎臓単独の障害なのか、生活習慣病など原因疾患が他にあるものなのかを検討し、場合によってはエコー、X線やMRIなどの画像診断を行ったり、細胞を直接採取して様子を見る「生検」を行ったりもします。