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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

ご存じでしたか? 地域医療計画

地域の実情に合っているか
それが最大の問題。

 今回、医療計画が全国一斉に見直されることになったのは、医療崩壊への大きな一撃となった小泉内閣下の医療制度改革に端を発しています。4月から始まった後期高齢者医療制度(07年12月号『後期高齢者医療制度』特集参照)も同じ流れです。
 それだけでも要注意警報発令という感じですが、一応その目玉を淡々とご紹介しますと、患者数が多くて死亡率の高い「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」の4疾病、「救急」「僻地」「周産期」「小児」「災害」の5分野について、患者の状態に応じて、どの医療機関がどの部分を主に担うか、選定し明示することになっています。
 これが本当にできるなら結構なことです。しかし、先駆けて分担の決まっていた「救急」が現在の体たらくなのに、それ以外の分野で実効性のあるものが作れるのか、というのは誰しも疑問を抱くところではないでしょうか。
 実効性がなくなるのは、医療者がそもそも足りないからという面と同時に、地域の実情を無視した国の机上プランによって人手不足がさらに深刻になるからという面もあります。
 分担を決める時、最も高度な要となる部分を担うのは国の指定する『拠点病院』です。医療計画に即して、体制の整っているか整えようとしている病院を都道府県が推薦します。エイズ、肝炎、がん、周産期など色々なものに対して拠点病院があり、国と都道府県とが半分ずつ補助金を出します。
 診療報酬が低すぎて経営に困っている病院からすると、この補助金が魅力的なアメに映ります。地域にニーズがなくても、補助金をもらえるからと人手を割くことになります。その分、本当のニーズに応える部分では人手不足になり、経営が厳しくなります。悪循環です。
 と、医療計画の変なところを強調してきましたが、考えてみれば、規制とその裏返しの業界保護策が時代に合わなくなり、現実の荒波にさらされた業界から課題が噴出してきたのは、医療だけに限りません。
 過去をとやかく言うよりも、どうやったら医療計画が医療崩壊を食い止める方へ、きちんと働くのか考えてみましょう。
 まず、計画が地域の実情と合った実現性のあるものになっていなければ、いけません。地域の実情は地域の方々が一番よくご存じのはず。ぜひ皆さんも、お住まいの都道府県の医療計画をチェックしてみてください。
 そんなもの見ても分からないと思ったかもしれません。でも、この4月以降に改定・公表される計画は、以下3つの観点で見直された結果ということになっています。・住民・患者にわかりやすい保健医療体制の実現、・質が高く効率的で検証可能な保健医療提供体制の構築、・都道府県の自主性・裁量性による地域に適した保健医療提供体制の確立で、つまり「わかりやすい」ことが大前提です。この部分は評価してあげて、その分使いこなさないともったいないです。
 ご丁寧に「目的を明確化した上で、記載事項については医療計画の目的を達成するための具体的な数値目標として位置づけ、進捗状況の把握と達成度の評価を実施できるよう、あらかじめ数値化できる適切な指標を選択、導入しておく必要がある」との方針もあります。要するに、住民の皆さんが、目標設定は適切であるか、目標がどこまで進んでいるかまで、チェックできるはずなのです。
 もし見てもサッパリ分らなかったら、苦情を言って構いません。そして、医療計画は、5年に1度必ず見直しをすることになっています。皆さん自身の手に地域の医療を取り戻すために、ぜひ身の回りの方々と語らって、医療計画の「ここをこう直せ」と、声を上げてください。


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