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「出来高払い」と「包括払い」の微妙な関係 ─ 中医協(6月24日)

厚生労働省0624.jpg 検査や投薬などをやればやるほど儲かる「出来高払い」に対し、必要な診療をカットすればするほど儲かる「包括(定額)払い」がある。診療所は出来高払い、病院の入院医療は包括払いが中心。診療所と病院、「どちらが儲かるか」ということが問題になっている。(新井裕充)

 診療所と病院は、入院用のベッド数で区別されている。20床以上のベッドがあるのが「病院」で、19床以下を「診療所」とすることが法律(医療法1条の5)で規定されている。

 「クリニック」とも呼ばれる診療所は個人開業が多く、「病院」に勤務している医師よりも高い年収を得ていることが指摘されている。

 このため、「医師不足とは勤務医不足をいう」との声もある。つまり、病院の勤務医を辞めて開業に走る医師が増えていると前提した上で、「病院勤務医と開業医との間に"偏在"がある」と解釈する立場。

 国家予算の"金庫番"である財務省は、「医療費の使い方が悪い」という考え方を採っており、診療所と病院の配分に問題があることを指摘している(財政制度等審議会の春の建議)。

4月21日の財政審資料.jpg このように、医療費の総枠を変えずに配分の在り方を問題視する考えに対しては、医療界からの批判が絶えないが、「医療費の配分の在り方に問題がある」との指摘自体は間違っていないように思われる。

 やり玉に挙がっているのは、診療報酬を決める中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働大臣の諮問機関)の審議の在り方。

 中医協の診療側委員の中では、開業医を中心に組織する社団法人・日本医師会(日医、唐澤祥人会長)の委員が強い発言力を持っている。

 このため、開業医に有利な診療報酬改定が長い間行われてきたとの反省から、次の2010年度診療報酬改定では病院に有利な改定をすべきとの気運が高まっている。

 そこで、次期改定で「出来高払い」と「包括払い」との関係をどのように見直すかが大きな焦点になっている。これは、「医療サービスをどのように考えるか」という根本的な問題に直面する。

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