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DPC病院の"計画配置"か ─ DPC評価分科会で厚労省案

6月19日のDPC評価分科会L.jpg 「地域におけるシェアというとき、『2次医療圏人口』を分母にすることによって、人口に対してどのぐらいの割合で貢献しているかを見ることができる」─。さまざまな機能を持つDPC病院が乱立する中、厚生労働省は「2次医療圏人口」という評価指標を導入して医療資源の集約化と地域連携を進める方向だが、果たして計画通りうまく運ぶだろうか。(新井裕充)

 厚労省は6月19日、中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)で、2010年度から導入される「新たな機能評価係数」の指標として「2次医療圏人口」を用いることを提案し、大筋で了承された。

 議論に先立ち厚労省は、2次医療圏ごとの人口とDPC対象病院数との関係を示した。これは、718か所のDPC対象病院(平成15-20年度)を2次医療圏ごとに割り振って、DPC対象病院が地域で果たす役割(シェア)を調べたもの。

 それによると、DPC対象病院の数は「50万人未満」の2次医療圏で最も多く、263施設(36.63%)。次いで、「50万~100万人未満」の2次医療圏で215施設(29.94%)、「100万~150万人未満」で127施設(17.69%)、「150万人以上」で113施設(15.74%)となっており、人口規模が大きい2次医療圏ほど、DPC対象病院の数が少なかった。

 しかし、「DPC算定病床数」と「DPC対象患者数」は、いずれの2次医療圏でも同様の傾向だった。つまり、DPC病院を受診する患者の数や、それを受け入れるベッド数は各2次医療圏でほぼ一定だが、DPC病院の数が過剰な2次医療圏、逆に不足している2次医療圏があることが示されている。

DPC評価分科会6月19日r.jpg このため、厚労省は「新たな機能評価係数」の指標に「2次医療圏人口」という基準を導入することによってDPC病院の地域偏在をなくし、「機能分化と連携」という名の下に"計画配置"を進めることが予想される。

 一定規模のDPC病院は、初期研修医を受け入れる「臨床研修病院」に指定されていることも多いため、"ハコ"と"人"の計画配置をともに進めていく方針が改めて示されたといえるだろう。
 
 DPC病院の計画配置には地域ごとの疾病構造を明らかにできるという利点があるため、今後のDPCの在り方としては適切であるとの見方もある。

 今回の調査で厚労省は、DPC病院が受け入れた救急患者や脳卒中患者などの数と、2次医療圏人口との関係を個別に分析している。
 それによると、救急搬送された入院患者数が2次医療圏の人口に占める割合は、「50万人未満」の2次医療圏が最も高く、人口規模が大きくなるにつれて低い値を示した。緊急入院(予定入院以外の入院)、時間外、15歳未満の救急、脳卒中などの患者数割合も同様の傾向だった。

 このことから厚労省は、「人口が少ない地域では、1つの医療機関(DPC対象病院)が占めるインパクトが大きい。150万人規模の大きな地域の500床の病院ならば救急患者を一定数引き受けたとしても割合は非常に小さくなるが、50万人の所での500床となると非常にインパクトが大きいので、それによって大きな割合として出てくると解釈している」と分析した。

 これに対して、池上直己委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)が「不適切な指標だ」と反対したが、「医療過疎の病院を評価するという視点で考えれば指標に十分なれる」など、大病院と中小病院の"すみ分け"を進める指標として評価する声が相次いだ。

 「2次医療圏人口」という指標に反対する池上委員の発言と、これに対する厚労省の反論は以下の通り。

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