意外と厄介 慢性頭痛
医療機関に行けば頭痛は治るのか、といえば、頭痛持ちでない状態に戻すことは必ずしもできません。でも痛みを軽くしたり発作の頻度を少なくしたりすることは可能で、医師の治療もそれを目標に行われます。
では、先ほどの順番に従って治療法をご紹介していきます。
まず片頭痛です。頻繁に発作の起きる人の場合、発作を予防するため、毎日薬を飲むような治療が行われます。使われる薬は、カルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などです。ただし、薬を飲むからには、当然のことながら副作用の危険性もありますので、症状の重さと副作用の出方とを天秤にかけることになります。
痛みが出てしまった場合、最初に述べたように我慢すればするほど事態が悪化する可能性がありますので、速やかに痛みを取り除く必要があります。症状が軽ければアスピリンやアセトアミノフェン、イブプロフェンなどといった市販の消炎鎮痛薬あるいはカフェインなどで鎮め、より重ければ血管の拡張を抑えるトリプタン系の薬やエルゴタミンなどで鎮めます。組み合わせて使ったりもします。トリプタンは特に有効性が高くQOLを高めます。
とはいうものの、消炎鎮痛薬やカフェインさらにトリプタンの飲みすぎは前項の最後に出てきた薬物乱用頭痛を呼びます。一方で、トリプタン系薬やエルゴタミンなどは血管収縮作用が強いので、狭心症など心臓疾患のある場合や脳卒中を起こす確立の高い人には使えません。
というわけで、いずれも一長一短。それだけに医師に正しい状態を知らせ、的確な薬を選択してもらうことが大切になります。
次に緊張型頭痛です。これは痛みが出たとしても、市販の消炎鎮痛薬で簡単に和らげることができます。ただし何度も言うように使い過ぎは禁物です。肩や首のこりをほぐすと痛みが和らぐことも多いため、マッサージや体操、リラックスなども効果があります。これらの動作は予防にも効果があります。今日からぜひ始めてください。
最後に群発頭痛です。痛みが起きてしまった場合には、鼻から酸素吸入を行いトリプタン系薬の皮下注射を行うと痛みを鎮めることができます。しかし、家庭で簡単に酸素吸入するというわけにいきませんし、痛み自体が尋常ではありませんから、発作を起こさないに限ります。反復する頭痛の予防には、ベラパミル、副腎皮質ステロイド、炭酸リチウムなどの薬が用いられます。また禁酒することも重要です。
「頭痛に強い医師」の受診をと繰り返してきました。どういう医師が頭痛に強いのか、その見分け方を知りたいと思っていることでしょう。頭を主に診ている診療科は、脳外科、神経内科で、痛みを主な対象にしているのは麻酔科です。これらの専門医で頭痛外来を開いているような医師ならば、かなり期待できるのではないかと思います。
漢方薬もよく使われます 頭痛は漢方が割合と得意とする分野です。よく用いられるのは片頭痛に呉茱萸湯という薬。冷え症の人で、冷えなどが引き金になる場合にはよく効きます。 また、むくみっぽい人の頭痛の場合、片頭痛にも緊張型頭痛にも五苓散というものが用いられます。典型例は月経前にむくみと頭痛のある場合で、この場合には月経前1週間くらいから飲み始めると効果があります。