文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

グルグル、フワフワ、クラっ めまい


浮動性なら脳の異常も...

47-1.2.JPG 耳だけでなく、脳の異常によっても、めまいが起きることがあります。その場合、回転性も浮動性も、立ちくらみもありえます。「めまい」というより、バランス感覚の異常と感じられることもあります。ただし、フワフワと揺れたように感じる浮動性めまいで、聞こえや耳そのものについての症状がないようであれば、脳の異常である疑いが強まります。
 以下、めまいを引き起こす脳の障害・病気を確認します。
●脳出血や脳梗塞
 平衡感覚をつかさどる小脳や、さまざまな神経が通る脳幹に障害が発生すると、内耳からの情報が正しく制御できず、回転性めまいが起こりやすくなります。多くは、激しい頭痛や首の痛み、顔や口、手足の指のしびれ、ろれつが回らないといった神経障害や、意識障害、運動障害などを伴います。その場合は、直ちに神経内科や脳外科のある病院を受診してください。
●脳腫瘍
 脳に腫瘍ができている場合も、平衡感覚の制御に影響が出て、めまいを生じることがあります。ただ、さほど激しくない浮動性めまいが大半のようです。最も多いのは、前庭神経(前頁図)にできる「聴神経腫瘍」。フラフラ感のほか難聴、耳鳴り、顔面の違和感、頭痛が生じます。
●椎骨脳底動脈循環不全症
 首から脳へつながる椎骨動脈と脳底動脈の血液が不足した場合も、平衡感覚の情報を正確にキャッチできなくなり、めまいが起こります。回転性めまいが多いのですが、浮動性めまいや立ちくらみも見られます。視界がボヤける、意識が遠くなる、嘔吐、腕のしびれ等を伴うことも多いようです。また、首を回したり伸ばしたり、体を動かした時に起こることもあります。

全身性の病気も原因に

 さて、もうひとつ最初にご紹介した「立ちくらみ」は、主に血圧が急激に変動するために起こるもの。やはり脳に送られる血液量が不安定になり、めまいを生じるのです。
 なかでも代表的なのは、「起立性血圧症」です。横になった状態や座った姿勢から急に立ち上がった時にクラッとしたり、目の前が暗くなったりします。このほか、血圧の変動に関係する様々な全身性の病気が立ちくらみの原因になります。例としては、高血圧、不整脈、低血糖、貧血などがあります。
 ご承知おきいただきたいのは、回転性のめまいにしても、浮動性のめまいにしても、そして立ちくらみであっても、原因がよくわからないままにたびたび繰り返されることもある、ということ。なかには、実は首の筋肉や靭帯の異常による場合や、更年期障害による場合、人間関係のストレスっからくるもの(心因性)ということも少なくありません。
 いずれにしても、生活リズムが乱れたり、不安や心配事、ストレスなどが積み重なったりすると、より起こりやすくなるようです。不安感でめまいを悪化することもめずらしくありません。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ