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時計を制御する光と食事

 前項で、体内時計に合わせて生活する方が、体へのストレスは恐らく軽いだろうという話をしました。卵が先か鶏が先か、規則正しく生活をしている人は、ほぼその活動に適した時計になっているはずです。
 人間の体内時計は、概ね25時間周期で動いていることが知られています。季節ごとに日照時間が変化する自然環境に適応するには、24時間カッチリ刻むより、少し長めのものを毎日リセットしていく方が都合良かったと考えられています。
 放っておけば1日に1時間ずつズレていくところ、暗い所にいた後で目に強い光を浴びるとリセットされ、ほぼ24時間周期になります。毎晩きちんと暗くして眠り、朝起きて太陽の光を浴びるとちょうどよいことになります。
 ただし夕方以降に似たようなことが起きると、逆に1時間延びて26時間周期になってしまいます。夜中にコンビニエンスストアなどへ行くのは要注意です。同様に夜中にパソコンや携帯電話をいじりすぎるのも考えものです。また、食事の摂取も時計に影響を与えることが知られています。
 さて、結論です。
 まずは毎日、きちんと一定の睡眠時間を確保しましょう。休日に平日より2時間以上長く寝ているような人は、普段から寝不足になっています。睡眠時間を削って眼先の何かをこなしても、体を壊しては元も子もありません。大体、睡眠不足のボーッとした頭より、ぐっすり眠った後の頭の方が何でも効率よくできるのではありませんか?
 分かってるけど眠れないんだという場合は、まず無理してでも眠りたい時刻の15時間前に起床すること、運動などをして眠りやすい状態に持っていくのが有効です。アルコールに頼るのは、睡眠の質が悪化して循環になるので、絶対にダメ。そんなことをするくらいなら、医師に相談して睡眠導入剤を処方してもらいましょう。最近は副作用の軽いよい薬が出ています。
 

夜勤と疾病リスク 就寝や起床の時間が一定しないと疲れが溜まりやすいだけでなく、疾病のリスクも高くなるのでないかという見方が有力です。
 まず、複数の研究報告があり、ほぼ間違いなさそうと考えられているのが、乳がんの発症リスク上昇です。勤務する時間が一定せず、昼に働いたり夜に働いたりするような人は、昼間だけ働く人に比べて、50%発症リスクが高いようです。WHO(世界保健機関)国際がん研究機関も、一日のリズムを妨害する夜間交代勤務は、「恐らく発がん性がある」と判定しています。
 また日本人を対象にした文部科学省研究班の疫学研究でも、24時間操業の工場や鉄道、ホテルなどの交代制職場で働く男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べ、前立腺がんになる危険性が3.5倍、心筋梗塞などの虚血性心疾患で死亡する危険性が2.8倍高いというデータが出ています。

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