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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

がん⑩ こんなに多様な医療スタッフ


お金、仕事、家族 よろず相談
 患者さんの悩みには、漠然とした不安だけでなく、より現実的なものも少なくありません。例えば、治療費や働けない間の収入といったお金の問題、仕事や家族の問題、さらには、転院先、退院後の療養先など日々の療養生活に直結する細かな事項も、意外と厄介です。そんなときに頼りになるのが、医療ソーシャルワーカー(MSW)あるいは相談員と呼ばれる人たちです。
 MSWには国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士が携わることが多いようです。関係機関・部門と連携や調整をしつつ、解決への道を一緒に探ってくれることでしょう。不安等が非常に強く、日常生活や治療に支障が出ている場合は、精神医療の専門家を紹介することもあります。
 MSWや相談員を見つけられない場合も、精神的な動揺や不安にかられた時には、看護師や医師、その他のスタッフ、誰でも結構なので、まずは助けを求めてください。家族の悩みも同様です。スタッフどうしの連携で、ベストの相談相手まで行き着くことができるはずです。
 以上、早足に様々な職種をご紹介してきました。直に接する機会の多寡はありますが、もし話す機会が持てたなら、それぞれの領域について気になっていることを積極的に質問してみてください。安心感が大きくなることでしょう。

新しい医療、新しい職種 医学の進歩を後押しするために設けられた職種もあります。▽臨床研究コーディネーター(治験コーディネーター)は、新薬などの臨床試験(治験)の開始から終了までスムーズに進むように、病院内の関連部署との調整や患者のサポートを担当。看護師、薬剤師、臨床検査技師が学会認定資格を得て兼任しています。▽認定遺伝カウンセラーは、遺伝医療を必要としている患者さんや家族に対し、適切な遺伝情報や社会支援体勢などについての情報を提供し、本人や家族の自律的な意思決定を支援します。▽医療の質を担保・検証するため、国際疾病分類(ICD)に従った診療録作成と保存を担当するのが診療情報管理士です。民間資格です。資格が必須というわけではありませんが、診療録管理に対しては診療報酬が発生します。
患者さんやその家族から寄せられる相談は、実に様々。例をいくつかご紹介しましょう。 ●がんと診断後、治療開始にまでに何をしておけばいいか。 ●治療費や生活費のやりくり。 ●仕事を辞めるか休職にするか。 ●入院が必要だが、親の介護や子供の養育のことが心配。 ●在宅療養を希望しているがどうすればいいか。 ●緩和ケア病棟への入転院や、最期を迎えるまでの過ごし方。
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