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がん⑪ 代替療法の正しい使い方


代替療法、利用する際の留意点。

 先にも申し上げたとおり、わが国で、がんの治癒目的の代替療法として最も多く用いられているのは、健康食品やサプリメントです。ほとんどは臨床試験による評価を受けておらず、医学的根拠もありませんが、患者さんのワラにもすがる思いから年間数兆円の市場と言われます。
 その他に、細胞免疫療法、超高濃度ビタミンC静注療法、様々なワクチン療法、ホメオパシー、宗教パワー療法等も代替療法として一般的ですが、それらの有用性もほとんど証明されていません。
 細胞免疫療法にも色々ありますが、採血の仕方や培養法に問題のある施設もあり、1コース数百万円と高額な割に有効率が低いのも問題です。
 超高濃度ビタミンC静注療法は、大量のビタミンCを点滴投与する治療法です。1970年代に米国で開発され、実施が容易なので日本でも爆発的に広がりました。しかし、標準的な投与法を遵守しない施設が多く、費用も1回2~3万円で週に2~3回と決して安くなく、がんが治る証拠はありません。
 その他の代替療法も効果がないか、証拠不十分か、時には危険ですらあります。
 「そんなはずはない。確かに効いた」という人や体験記が存在する理由としては、
●販売会社が雇ったライターによる体験談やデータの捏造
●副作用や後遺症の自然軽快(積極的ながん治療の副作用や後遺症が治療をやめたため軽快し、免疫力が発現)
●プラセボ効果(効くと信じ込んでいると、偽薬でも一時的に症状が改善することがある)
などが考えられます。 
 どうしても試したい場合は、下の表でチェック後、次のことをかならず守ってください。
①代替療法を利用するのが適切か否かについて、前もって主治医に相談する。(主治医が代替療法に否定的な場合は信頼できる人に相談する)
②代替療法の施設には、友人や家族に一緒に行ってもらう。
③その場では決して契約せず、説明を聞いてひとまず帰宅し、数日間よく考える。(しつこく契約を迫る場合は要注意)
④通信販売で健康食品やサプリメントを購入する場合は、実際のがん患者にどのような効果があったかを確認し、主治医または信頼できる人に相談した後に購入を決める。
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