都会の公園でも森林浴効果~それって本当?
コラム1 日本発「森林浴」から「森林セラピー」へ
実は、「森林浴」という言葉は日本生まれ。1982年、林野庁長官による造語です。「燃料革命以降、国産の材木の消費・生産は減り続け、建材の多くが鉄筋に取って代わられた結果、放置され荒れた森林の利用を高めようとしたのです」と岩崎准教授。「まだ、確たる科学的裏付けはありませんでした」
さらに同庁は2003年、「医療・福祉分野において森林空間を利用した健康の維持・管理等を行う活動を、森林療法(フォレストセラピー)、その担い手となる人材を森林療法士(フォレストセラピスト)と呼称する」との方針を示しています。
なお、森林療法や園芸療法という言葉は、「病気を治療する」ものという誤解を与えがちですが、特定の疾病に西洋医療のような劇的効果を期待することはできないので、注意が必要です。
コラム2 フィトンチッドとは
フィトンチッドは、樹種ごとに構成成分が違い、特有の香りがあります。ギリシア古語の「フィトン(植物)」と「チッド(殺す)」からの造語で、1930年頃には既に提唱されていました。樹木は、病虫害や他の植物などの攻撃や刺激から移動して逃れるのが困難なため、多様な効果のフィトンチッドを自ら生み出し身を守ってきたと考えられたのです。
とはいえ当時は、森林の放出成分を検出する機器がなく、「森の空気もビニル袋を持って走り回って採取したらしい」(岩崎准教授)とのこと。理論はともかく科学的な証明は不充分でした。