かかりつけ医探しに失敗~記者が当事者になって気づいたこと②
接種の当日、受付に入ると、子どもはほとんどおらず、高齢者が大勢いました。
息子の名前が呼ばれ、診察室へ。診察は特に問題ない様子。そして院長は看護師に予防接種を指示しました。
え?
知人の小児科医が「予防接種は自分で打つようにしている」と話していたのが印象に残っていたので、子どもの予防接種は主治医が打ってくれるものだと思い込んでいました。
院長は、私が希望していた4種類の同時接種を認めない理由も説明してくれたのですが、全く科学的とは思えませんでした。確かめたい、でも質問したら面倒くさい母親だと思われそう、そう思われたくない、などと逡巡しているうち、看護師が息子を見ながら言い放ちました。
「かわいそうに。これから何が起こるのかも知らないで」
驚きの余り、思考が止まり、動けなくなりました。
息子は初めての予防接種を受け、1秒ほど後に顔を真っ赤にして大泣きを始めました。
痛いよね、痛いよね、と息子を思いつつ、まだ頭の中が混乱していました。
帰宅後、ふつふつと怒りが湧いてきました。
どの母親も、予防接種の必要性を頭で理解していても、自分の子どもに針を刺されることは感覚的に厭だと思います。それでも、かかる可能性のある致命的な病気を避けるために必要なんだ、と自分の感情を抑えて、予防接種を受けさせています。産後の体調も育児も大変な中で一生懸命に医療機関を探し、勇気と緊張を抱えて初めての予防接種にやって来ます。それなのに「かわいそうに」とは何事でしょうか。
あそこへ行くのは、もうやめようと思いました。
こうして、初めてのクリニック選びは、失敗に終わりました。