誰がどう恥をかくのか 予防接種法改正
第一次提言を取りまとめた19日の『第5回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会』(部会長・加藤達夫成育医療センター総長)は、提言の中身はともかく、狎れ合わずに質疑が行われたこと、二段階法改正の二段目実行を担保するのは足立信也政務官しかいない(交代すればウヤムヤになる)と分かったこと、で大変に意義深かった。予告通り丁寧に報告する。(川口恭)
前回に若干議論が紛糾しかけたメーカーへの協力要請と医療機関への査察の件に関しては『抜本改正の際に改めて議論』と先送りした案が事務局から提出された。開会前にこの資料を見た時には、争点もなくなったしシャンシャンで最後まで行くのかなと思ったのだが、蓋を開けてみたら、想像を超えて刺激的なやりとりが繰り広げられた。
この日の進行は、提言の字句について、委員が気になる点を指摘するというもの。
Ⅰ.はじめに
櫻井敬子委員(学習院大法学部教授)が『地方公共団体に(略)協力をいただいており』の部分について、「妙にへりくだるのは、日本語としても、法のセオリーから言ってもおかしい」と指摘して始まった。
黒岩祐治委員(ジャーナリスト・国際医療福祉大教授)
「はじめに、に抜けていると思うことがある。そもそも前回の新型インフルエンザ騒動、水際作戦といって国民的大騒動を起こしたことについて、どういう反省があって、どういう課題が見つかったという総括を、まずはじめにに書いてから議論を始めるべきでないかということを最初の日に申し上げた。しかし、その点が全く書かれていない。認めるわけにいかない」
事務局
「これで書きぶりがよいのか分からないが、2頁目の12行目に『総括も踏まえた上で』となっている」
黒岩
「今回の問題は国民の理解を得ないと始まらない話。あの騒動が誰の責任だったか、誰がどうするのか書かないと国民は聴く耳を持たない」
櫻井
「あの騒動とは具体的にどういうものか」
黒岩
「チフスのようなもののパンデミックが起きたかのように飛行機を止めて防護服を着てウロウロして水際作戦だと言ってやった。しかも途中途中で水際作戦がうまく行っているとアナウンスして。しかし結果から見れば全くのウソ。誰がどこでどのように間違えたのか総括してもらいたい」
加藤部会長
「この部会で総括すべきという意見か」
黒岩
「そう」
事務局
「新型インフルエンザ対策全般についての総括は必要だと我々も思っている。しかし、今回は予防接種に関する検討を行う会議なので、予防接種の話だけ書いている」