体重が減らないのは腸内細菌の仕業かも~大人も知りたい保健理科 新㉘
同じを食べても
以上の基本的なことをきちんと踏まえた上で、いよいよ新しい視点のお話をしようと思います。
皆さんはインの量はどうやって計算していますか? 献立からカロリー計算していますよね。例えばコンビニのお弁当であれば、何カロリーと表示がされています。それらを合計して1日量を知ることができます。
こうやってインが計算できる考える大前提は、同じ物を誰が食べても同じカロリーのはずということです。しかし実際には、身体の中に吸収されるエネルギーは人によって異なるのだそうです。その原因は体質です。遺伝的要因もありますが、最近の研究では、人によって大腸の中に棲み着いている細菌(腸内細菌叢)の種類や量が異なっており、それが体質の違いとなって影響しているそうです。
つい最近まで、大腸という器官は消化に関係なく、水分を吸収して食べカスから便を作るだけだと思われていました。ゲノムの解析技術が進歩し、マイクロバイオーム(微生物叢)を容易に調べることが可能になると、腸内細菌叢の内訳が明らかになってきました。痩せている人に共通して多い細菌は何属かといったことや、病気との関連も分かってきました。また、細菌が何をエサにして、どういう物を産生(発酵)しているのかが解明されるようになり、産生物が身体に働きかけて脂肪の吸収を抑えてくれることも分かってきました。
この腸内細菌叢は、まるで指紋のように個々に異なります。何を食べ、どういう生活をしてきたか、ある意味0歳から自分がコツコツと作り上げた作品なのです。残念ながら、その作品があまりよろしくないという人は、食生活を根本的に見直し腸内細菌叢を再構築しなくてはなりません。
今回ご紹介している本には、最近の知見が記載されています。まだ全容は分かってはいませんが、ヒントとなることが書かれていますので、どのように腸内細菌叢を再構築すればよいのかを考えながら食事を見直してみてください。行き詰まっていた体重管理成功の糸口が見つかるかもしれません。