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ニュース〜医療の今がわかる

ビジョン会議9




























舛添要一・厚生労働大臣
「今日は大体の骨格についておまとめいただきたい。国民に安心・安全を提供するというのが内閣の大きな課題であり、医療ビジョンも大事な局面にある。よろしくお願いします」


野中博・野中医院院長
「はじめに、が大事。各論を議論する前に国民や社会において、医療がどういう意味を持っているか捉えておかないと。国が国民に対して保証する事業だと思う。それを国民みんなで国の指導のもと支えていこうということ。ぜひ、その視点を冒頭に入れていただきたい。そうすれば、やらさせるのではなく、自ら取り組む身になって考えられるだろう。国民皆保険には1人1人に役割がある」


松浪健太・厚生労働大臣政務官
「野中先生のおっしゃったことは最も重要だと思うのだが、安心というのが現在の、希望というのが将来への持続性、それをいかに国民に信じてもらえるか、そういった図をつくって事務局にも渡してある。

ここでは5項目になっているが、まとめると、医師数の問題、医療機関のネットワークの話、医療者と患者の協働の話であり、3つにした方が分かりやすいと思う。それから順番も大事で、最も最初に来るべきは医師数ではなく、医療者と患者の協働の話であり、それからネットワーク、最後が医師数でないか。並べ方がどうか。構成をしっかりすることが政策に反映されるので考え直すようお願いしたい」


矢崎義雄・国立病院機構理事長
「このペーパーは過去8回をよくまとめていただいているが、問題が羅列的で確かにインパクトが少なくなる面はあるかもしれない。今おっしゃられたように構成を組み換えていただいたりしたら。問題はすべて尽くされていると思うが」


辻本好子・COML理事長
「確認だが、検討、推進、普及、強化という文言が出てくるのだが、これの区分けはどういうことか」


事務局
「これまでの議論を踏まえて、若干は事務局の考えも入っているかもしれないが、議論の煮詰まり具合を表現したつもりだ。もちろん現実にどこまで進められるか、さらにご議論いただければ」


辻本
「検討、というのは検討会を開くという理解でよろしいか」


事務局うなずく。


西川京子・厚生労働副大臣
「私も順番の件は同感だ。結局、国民にも役割分担してもらうことが必要なのであって、一方的に行政だけが提示するものではないだろう。その意味では国民きちんとメッセージを出す必要がある。一方で書きぶりによっては、責任転嫁してんじゃないのという見方をされる危険性ははらんでいる。両側からというのが正しいだろう。3つぐらいにまとめた方が良いというのはその通りだと思うが、私は救急医療のことが一番身近で不安に感じていると思うので、もっと大きな柱でよいのでないか。

それから、これは大臣の考え次第ではあるが、財政の問題が全く出てこないのもおかしいと思う。議論はすべきだろう」


辻本
「ないな、ないなと探し回ってしまったのだが、学校教育の問題がすっぽり抜けてしまっている。ぜひ加えていただきたい。私自身の医療教育のことを思い返してみると、親が先生に盛んにおじぎをしているパターナリズムの後ろ姿を刷り込まれたところから始まっている。いくら患者本位の医療とおだてられても、刷り込まれた部分からの意識変化は難しい。逆に、これからの子供たちにどういう刷り込みをしていくかが将来のビジョンに大きな影響を与える。医療者をどう上手に活用するか、ということは小中高の教育でやっていけるのでないか。

これが省かれちゃったのは、文部科学省との関係があるからだろうかと思ってしまうのだが、公務員制度改革も明るい兆しが出てきた。人事異動も含めて積極的に行うよう、ビジョンに加えていただきたい」


舛添
「これからの方向性として、情報を国民と共有するのが当然。知らないものを医師が恵むなんてことにするとおかしいので、国民が知らないのは良くないとハッキリするべきだろう」


野中
「それは結局、患者さんの痛みに医療者がどうやって向き合うかなのであろうから、ぜひはじめに、に入れていただけると。というのが適切な効率的な受診とは何なのかということを考えた時に、コンビニ受診は患者にとって便利なのかもしれないが、実は患者にとって不幸なことをしないといけないから医療者は困るわけで、そこはきちんと啓蒙が必要。保険者が本来はそういった情報を提示する役割があると思う。

救急体制の充実も大事だが、やみくもに使うのは不幸。それから治すと支えるで言えば、充実すべきは『治す』の方だが、『治す』だけでは100%でないので、直している最中から支える観点も必要だということ。それから、そういったことを医療の恩恵を受けていない国民にも働きかけないとダメ。

短時間正職員を書き込んだのは大事なこと。医療者の担う責任を考えたら当然。しかし、一方で雇用する側からすると負担が大きな課題。どうやって実現するか考えると、どうしても費用が必要だと書いておかないといけないだろう。とはいえ、それを言い過ぎると金が欲しいというだけに思われてしまうので難しいのだが、しかし書き込んでほしい」


矢崎
「私は、すべてお金が欲しいの立場の病院を代表していて、そう申し上げなきゃいけないので恐縮だ。キーワードは2つあって、医療提供側の構造改革と受ける側の理解と行動変容だと思う。提供側としては、医療者側の業務分担見直しとサポートをお願いしたい。業務範囲の見直しだけでも、以前法律を書き直せば済むという話があったがそんなことはなくて、もの凄く費用がかかる問題。我が国のベッドあたり医師も看護師も少ないという問題があって、その時に病床数が多すぎて薄まってるという意見もあるが、800床くらいの急性期病院で比較すると、医師数も看護師数もアメリカの10分の1しかいない。なぜこんなことになるかと言えば、日本の病院は人件費比率が40〜50%でないとやっていけない。病院は労働集約型産業なのだが、日本の場合は労働倹約型になって、その結果として現場では過労が進んでいる。アメリカの場合、人件費比率は85%程度だ。病院の構成を考えていただかないとうまくいかない。

それから国民には救急医療が完備していないのが不安だという問題だが、これも地域の情報ネットワークさえしっかりしていれば『たらい回し』なんてなくなるんだという人がいるが、そんなことはない。現状を見ると二次救急が一番システムが遅れている。手上げ方式だから実力もバラバラだし、輪番制だからどこで何をしているのか分からない。二次救急が必要な患者は絶対に病院に受けられる体制が必要だと思う。その辺、ビジョンには書き込めないだろうが、具体的方法としては、中核病院に公費を入れて区分会計で救急専従のチームと病床を置かせればいい。医師が24人程度必要になると思うが、それで24時間交替の体制にする。区分会計にするのは、単に病院に入れると、どこへ行くか分からないから。それから、その中核病院に1次患者が集まるとパンクするので、サテライトの診療所で1次は受ける。将来のビジョンとしてシステム化したら、随分国民からは安心して信頼してもらえると思う。そういうことは前回大臣が言われたように政治の力でしかできないことなので」


舛添
「大項目の(4)の中に入っているけれど、構成として緊急医療体制の再構築として特出ししたらどうか。今おっしゃったことを書いた方がよいと思う」


野中
「救急は医療機関が救うという話ではない。地域の住民、行政がどう作るか考えていただけないと。そのためにも地域医療計画に魂を入れて体制を作っていく必要がある。その際にある程度の費用は必要。それから公的病院と私的病院の役割を明確にしないととも思う。公費を入れつつ競争させると私的病院に過剰な負担を強いることになり、経営が立ち行かなくなればかえって地域の安心安全が保てなくなる」


舛添
「今は医療機関の分担の話がいくつか分かれているが、地域で支える医療の推進の大きなものとして位置づけたらどうか。3はスキルミックスの話。4を地域で支える医療の話にして、その中に救急の話も整理すればよいだろう」


松浪
「二次救急は大事。北海道などは市町村合併が進んでいないので、その辺りの関係、自治省(ママ)マターではあるが定義づけていただくのは大事。副大臣おっしゃるように、協働関係を最初に書くのは押しつけと取られる危険はたしかにあると思うが、救急車使い放題というのはいかがなものか、調べたらアメリカでもどいつでもフランスでも有料。使い放題ではなく、限られたパイを分け合うしかないんだということを、誤解を恐れずに毅然とした態度で、2200億円は大臣はじめとするご努力で置いておくことはできるとしても順番については大臣はいかがお考えか伺いたい」


西川
「最初に理念を書くのは私も賛成。救急に関して言えば、消防の問題と病院の問題が一緒くたになっているけれど、搬送部分は有料にするというのを検討するくらいは一項目入れてもいいのでないか。それから今日はメディアの方が大勢見えているので、教育とメディアの報道ぶりが大きいということを言いたい。後期高齢者医療制度に関して言うとメディアのミスリードが実に大きい。メディアの役割として、メディアも協働してほしい。もっと分かったうえで報道してほしい。その辺のところもビジョンに書けないか」


松浪
「メディア出身の身として後期高齢者医療制度については副大臣と立場が少し異なる。老人会などでは事前に幹部へは説明していたが、その先につながらないという話だったし、辻本さんのところでも1年も前からシンポジウムなどをしていたが盛り上がらないという話だった。メディアに分かっていただきたいというのはその通りだが、後期高齢者医療制度に関して言えば、厚生労働省の側に大きな問題がある。このためには、メディア対応にあたる人材を順送りではなく、適正を持った人間を2、3人ずっとそのポジションにつけて一子相伝のようにノウハウを伝承させるようにしないと、センスのないメディア対応が続くことになる」


西川
「この際だからハッキリ言うと、新聞は時間とともに軌道修正してくれるからいい。問題はテレビが最初からセンセーショナルさだけ優先して伝えること。メディアの役割として行政・政府のチェックがあるのは分かるけれど、テレビで最初にそうされてしまうと、後からいくら正論を言っても全て言い訳としか受け取ってもらえない。本当に今回のことで地元で痛感した。メディアには啓発の役目もあるはずで、そこのところをきちんとしてほしい」


舛添
「次回で最終回になると思う。ここからは矢崎先生おっしゃるように、どうやって現実のものにしていくか、毎日のように議論している。政府の方ももうすぐ骨太の方針が出てくる。私も内閣の一員として全面的の対立するわけにはいかないが、しかし何とかこのビジョンの裏づけをしていきたい。

その際に3つの原則を貫きたい。規制強化はダメ、中央集権はダメ、改革の努力を怠ってはダメ、の3つだ。

最初のは、要するに金は出すが口は出さないということ。いやしくも、このビジョンが、政府や厚生労働省の権限を強化するものになってはイカン。箸の上げ下げまで厚生労働省が指示していたから、謝るのまで全部厚生労働省がやらされるんであって、後期高齢者医療制度の保険証を送付ミスしたなんてのは本来市町村の責任で恥ずべきことのはずなのに、指示がちゃんと来なかったと開き直られる、そういうのはもう絶対に反対。それから医師会のような利益団体の権益強化にも絶対に反対。要するに国民の視点でやれということに尽きる。私はどこの利益団体の支援も受けていない、まったくのフリー。そういう大臣のもとでしか、こういうことはできない。いやしくもこれを元に一つの団体が自らの利益を図るなんてのは断固反対。というのも、ずっと医師確保の議論をしてきたが、医師数は十分にいる。強制的に離島でも何でも連れていけばいいじゃないかという意見もある。そんなことできますか。すべきでない。権限があるからといって強制するんでなく、インセンティブをつけるのは構わないが、パニッシュメントで強制はダメ。スキルミックスについても、厚生労働省の方針通りにやりなさいというのはダメだ。

次に地域に任せるという話は、私もそうだが厚生労働省の中にいて地域の実情が分かるはずがない。現場重視ということ。北海道と沖縄とでは当然やり方が違っていいはず。最低限のことだけ決めて、あとは地域に任せましょう。現場の意見を優先して、役人の声、大臣の声は後回しにするということ。

最後のは、これが出たからといって何でもかんでも金がつくと思うなということ。医療費の無駄を省く努力は続けなければならん。たとえばジェネリックをどうやれば使うのかとか、たとえば医療機器が欧米に比べて高いと言うのなら、なぜ高いのか、誰かが途中で何かしているのなら、その規制を緩和すればよい。そういった努力をせずに、ただ金をくれでは通らない。2200億円の枠を外すのにも理解が得られない」


非常に大きな声で一気にまくし立てた。大臣の正面で聞いていた厚労省の中堅幹部たちの表情は超合金のように固まっていた。どうやら、こんなことを言うとは、全く思っていなかったらしい。


大臣の話はまだ終わらない。
「ビジョンの中身には財源がないとできないもの、なくてもできるものがあって、財源がないとできないにしてもでは一体いくらかかるのかの精査が必要。医師の増員は何人でいくらなのか、スキルミックスに看護師を養成するとしたらいくらかかって、何人養成するのかという精査だ。それとは別に柏原病院のようにお金かかっていないけれど医師が救われたというもののある」


ここで口を挟むのは何だが、『県立柏原病院の小児科を守る会』の方々は、活動費をフリーマーケットで稼ぎ出している。役所から金が出ていないだけで、まったくお金が要らないわけではない。そこは勘違いしてもらったら困る。まあ細かいことだ。報告に戻ろう。


舛添
「タイムスパンの概念も若干必要だろう。1年間でやるのか、3年でやるのか、5年でやるのか。今、緊急にやるべきことをやるべきで、ノンビリ10年計画なんて作っている場合かというご意見もあるが、矢崎先生もおっしゃったように医療提供体制の構造改革がない限り、医療の将来は暗黒だ。そうならないんだとこれからの人に見せるためには絵姿が必要。今のような状況なら医師になるのをやめよう、産科医になるのをやめようと思っていた人たちが10年後にこんな状況になるならやってみようと。目先をやるのが政治家だなんてとんでもない。長期ビジョンがないから、毎年同じことばかり繰り返して、どんどん人が減ってしまうのだ。

さて、このような私の方針に対してご意見をいただきたい」


お読みいただくと分かるが
大臣から予想だにしない発言が出たためだろう。
この後しばらくアドバイザリーボードの委員たちの発言は
大臣の問いかけと噛み合わず、取りとめないものになる。
結果として見れば、3原則は承認されたということになるのだろう。


野中
「言われていることは大事。繰り返しになるが、地域医療計画できちんとすべき。救急をどうやって受けるかも大事だが、どうやって地域へ戻すか、描いてなかったことが問題。医師会が提案していく作業だろう。地域と住民の安心をつくるという観点からは、救急車をどう活用するかも大事。どの病院に連れて行くのか行かないのか前もって決まっていて現場で即刻トリアージするべきであり、病院が決まらずに現場で15分も20分も止まっているのは非効率だ。それから救急と同様に、急性期病院からどうやって退院させるかも医療計画に欠けていた。

看護師の人員配置の問題も書いてあるが、今の診療報酬では配置できない。

逆の発想で、患者が退院した後どうするのかから必要な医療やケアを積み上げて、医師数や看護師数が足りているのかいないのか考えていかないと。外国から人を入れるという話が出ているけれど、安く雇うためというなら変だ。必要な数だから入れるというのでないと。要するに何が言いたいかというと、医師数増だけでなく他職種についても考えていただきたい」


矢崎
「先ほど、国民の不安を解消するには二次救急が大事だという話になった。しかし実際には二次救急病院だけ確立してもダメで地域のネットワークが必要。そのためには診療所の先生の努力が必要だろう。しかし現状では診療所の医師はたいてい1人であり、休日や夜間も診療するのは無理。それに、かかりつけ医にしている人でないと、住民からは顔の見えない存在だ。だから診療所の機能強化と言った時に個々の診療能力を上げるのでなく、医師会がそういう取り組みを始めていると思うが、複数医師によるグループ診療で、かつ病院と連携してサテライトとして機能するようなものにしていく必要があると思う。

病院から勤務医が辞めるのが大問題になっているわけだが、病院を立ち去った後でどこへ行っているのか実は分からない。ビル診になって医師会とも関係なくなっているのかもしれない。せめて病院から出る開業医だけでも、受け皿として専門的な研修を施して、病院と関連しながら関与する仕組みが必要でないか。それから診療所へ逆紹介しても患者さんが行かない。病診連携だけでは解決できない。だから、病院から行く時の受け皿をどうするのか、そういうことも考えていただきたい。

ムダを適正化する所があるというお話だったが、大きなものは高齢者療養病床、医療型の高い入院をしていることだろう。だから厚生労働省が35万床(ママ)を15万床に減らすと言っていたわけだが、実はこうした病院のほとんどは200床以下の私立病院であり、我々国立病院であれば厚生労働省が減らすと言ったら「はー」とすぐ削るけれど、私立ではなかなかそうもいかない。結局ウヤムヤになりそうだ。というのも難民を作らないためには受け皿がない限り難しい。今は、こういうことを診療報酬の世界でやっているが、あっちを削って、こっちに付け換えてということに過ぎない。利益相反とか交渉による取り合いとかの側面もあって、中医協の役割というのが、政治で総枠が決まった後で中の配分をやっているだけなので、利益配分には別な形のものも将来には検討し直してもよいのでないか。こんなこと言ったら僕は刺されちゃうかもしれないけれど」


3原則に異論を唱えるどころか
『聖域』中医協の見直しという新たな爆弾まで飛び出した。
大臣、これを聞き逃さず、さらに追い打ちをかける。


舛添
「私も中医協の役割はそろそろ変わってよいのでないかと考えている。透明性がない。私も刺されちゃうかもしれないが。

もう一つ、ケンカする気はないけれど、医師会や看護協会は何をしているのか、このビジョンにも1行も言及がない。本来なら職能団体が果たせる役割は大きいはず。国民から乖離した利益団体は存続できない。自己改革が必要だろう。そんなことしているから選挙だって落ちるのが当たり前」


辻本
「大臣のおっしゃることはごもっともと思う。地域主体にすれば、地域の住民が興味を持つきっかけにもなるので大きな意味があるだろう。ただし、国の責任放棄じゃないのという不安はある。一気にそうするんじゃなくて国がサポートする必要はある。でないと地域格差ができてしまう。既にがん診療拠点病院でも地域ごとに温度差がだいぶある。プロセスとしてサポートが必要だろう。で、サポートの中に、評価委員会システムの充実を国が主導するような中間システムづくりのようなものもあると思う。一気に地域に放り出すことはやめていただきたい」

ここまで来てようやく3原則への注文がつく。


が、舛添
「ただやっぱり全部中央が決めている歪みは出ている。周産期医療センターを作れといって、それで安定したか、かえってセンターのない宮崎県の方が良かったりする。だからミニマムは守りますよ、あとは地域で実情に合わせて決めてくださいとするべきだと思う。その場合、市町村では受け皿として小さすぎる。都道府県ではどうか。後期高齢者医療制度がまさにそうだけれど、まだ小さいと思う。九州で1個、四国で1個という道州制なら何とかなるんじゃないか。北海道と沖縄とでは気候が全然違うのに、同じ基準でやれという方がおかしい。大まかな最低線だけ決めて、後は実情に合わせて加減してもらえばいい。ただ、やりたい時にお金がないでは地域も困るだろうから、お金は国がきちんと出しますよ、それが国の役割だろう。

そろそろ国の形を変えないと、どっちからも文句が来る。せめて道州制なら随分変わるんじゃないか。今言われた意見につながることとしては、ミニマムを守るのは当然。しかし、そのために私の思っているのと逆の方向に行くのはどうか。若い医療提供者たちがこれから一生懸命取り組んでもらうためにも、夢があるなあと感じてもらうには、絶対にそう思う」


松浪
「私の専門の道州制に振っていただいて感謝したい。自民党の部会でも、権限、財源、人間の3ゲンを移譲して10年後には道州制へ移行する考えで、その時に政権があればの前提だが、動いている。権限と財源だけではノウハウの点で不安がある。厚生局単位での移譲といったこともビジョンに書き込んでいただくと、未来がすっと見えて、新たな姿が見えるのでないか。

矢崎先生のおっしゃることに大変共感する。勤務医が少なくなったときに、どうやって川中をつくれるかだろう。自律的に病院と診療所との間を取り持つ仕組みも検討する必要があるだろう。

それから9回の議論では限界があった。積み残した課題をどうするか。たとえば大臣もおっしゃっていた医療と介護の線引きの問題、今回は介護現場の方からヒアリングできなかった。ひきつづき検討していってほしい」


矢崎
「医師の養成数の話に戻ってしまうのだが、よろしいだろうか。現状で医師を増やすには、医学部定員の大幅増員しかないだろう。ここで私が慎重論を述べているので、各方面から『分からずや』と言われ大変苦慮している。圧倒的に不利な立場であるけれど、考えていただければ私は病院という医師が足りなくて困っている立場であり、医師増を願い出るのが当然であること、それから日本医師会とあえて言う必要はないが既得権を守る職能団体の代弁者ではないこと、それから総枠規制を進める厚生労働省の立場は理解するけれど決して代弁する者ではないことから、改めて医師数増には慎重な取扱いをお願いしたい。医学部教育の現場を知る者として、決して全く増やしちゃいかんと言うつもりはないが、教育の限度をしっかり考えていただかないとということを最後にお願いしたい」


舛添
「いろいろなご意見が大事。当然、財源の問題も考慮しないといけない。そういうことを含めての3原則だ。現場が判断できるように、現場から上がってきた声を集約しないで、上から押しつけたら何もならない。お知恵を皆で出し合っていただきやりたい」

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