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ニュース:カテゴリー「医療/学会・団体」の記事一覧

 世間を騒がせている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加問題。医療界への影響についても様々な意見が飛び交うものの、論点がどうもはっきりと見えてこない。医療界が考えるべきエッセンスを梅村聡参院議員(民主)に聞いた。(熊田梨恵)

長尾氏.jpg 「平穏死できない現実を知ろう」「救急車を呼ぶ意味を考えよう」-。兵庫・尼崎市で在宅医療を続ける長尾和宏氏(日本尊厳死協会関西支部長、長尾クリニック院長)が10月26日、「平穏死の条件」をテーマに神戸市内で講演した。(熊田梨恵)

坂本すが・日看協会長0610.jpg 60万人を超える看護職が加入する公益社団法人・日本看護協会は6月10日、役員改選後初の会見を開き、新会長に就任した坂本すが氏が「現場の声を大事にしながら収集して、そして現場の声を集約して、何が必要かということを考えていきたい」と抱負を語った。(新井裕充)

福島第一原発の復旧に当たっている作業員に事前の造血幹細胞保存を呼び掛けている谷口修一・虎の門病院血液内科部長は28日、保存に否定的な見解を打ち出した日本学術会議に対して公開討論の要請を行った。学術会議側の対応が注目される。(川口恭)

satoshieye2.JPG『ロハス・メディカル』でも、5月号で東日本大震災関連の記事をいくつか掲載することにしております。雑誌の発行前ながら前倒しで掲載できるものは、どんどん掲載していきますので、ご活用いただけましたら幸いです。まずは、関西版『それゆけ!メディカル』限定コンテンツ、『梅村聡の目』です。

 3月11日の東日本大震災では、医療機関も被災したために透析難民が大量に発生、被災地以外での代替が必要になっている。対応するため、日本透析医会(山﨑親雄会長)で全国の会員施設に呼び掛けを行ったところ、被災3県の全患者数を上回る約1万8000人の受け入れが可能になった(24日現在)。特に、電力事情に問題のない近畿以西で、約1万人を受け入れられるという。同会で災害医療を担当する山川智之常務理事(大阪・白鷺病院理事長)に話を聴いた。(熊田梨恵)

 昨日発足した内閣官房・医療イノベーション推進室の中村祐輔室長には、ロハス・メディカル誌2010年1月号から12月号まで『あなたにオーダーメイド医療を』というコーナーの連載をしていただきました。これまで、このコーナーの文章はweb公開していませんでしたが、ちょうどよい機会なので1日1本ずつ公開していきます。

(2010年1月号掲載)

110107inovation.JPG 政府は7日、医薬品・医療機器分野を国の成長産業とするため、その研究開発部分を省庁横断的にバックアップする組織として、内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置した。室長と室長代行2人が官や政からではなく研究者から起用されたという点に目新しさを感じるところで、その3人が発足にあたって記者会見を開いたので、お邪魔してきた。(川口恭)

嘉山孝正理事長(右)、大久保満男会長.jpg がん患者が抱えやすい口腔内トラブルを解消してがん治療の質を高めるため、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)と日本歯科医師会(大久保満男会長)は31日、がんに関する講習を受けた歯科医が同センターから紹介を受けて患者の歯科治療に当たる医療連携を始めると発表した。当面は手術を受ける関東圏の患者約4000人を対象に始める予定で、各地域のがん診療連携拠点病院による全国展開も視野に入れている。(熊田梨恵)

 森臨太郎氏(東大大学院医学系研究科国際保健政策学准教授)インタビューの最終回です。国民全体の医療を向上させるには、先端医療の開発よりも今ある医療を標準化し、底上げすることが必要と伺いました。今年度から始まった戦略研究で、森氏は実際に標準医療の底上げに取り組み始めています。(熊田梨恵)

 森臨太郎氏(東大大学院医学系研究科国際保健政策学准教授)インタビューの第2回です(前回はこちら)。今回は、このガイドラインの作成過程に関する考え方が医療政策全体に通じるというお話を伺いました。エビデンスの取りまとめや納税者の視点に立った費用対効果分析、医療者と患者の情報交流にもつながる総意形成手法といった部分にポイントがありそうです。(熊田梨恵)

森臨太郎先生.jpgインタビュー
森臨太郎氏
(東大大学院医学系研究科国際保健政策学准教授)

 日本未熟児新生児学会が先ごろ公表した『未熟児動脈管開存症のガイドライン』は、患者家族の参加や、総意形成と根拠の検証へのこだわりなど、今後の日本のガイドラインの在り方に一石を投じるものになりそうです。背景には、英国政府組織でガイドライン作りに携わってきた森臨太郎氏による、ガイドライン作成過程の計画がありました。森氏に取材すると、日本のガイドラインの問題点は医療政策の問題構造に通じているという興味深い話を聞くことができました。3回の連載でお届けします。(熊田梨恵)

 東京都は4日、2次救急病院が患者の搬送先を選定する「東京ルール」について、制度が始まった昨年8月末から今年7月末までに、1万732件の実績があった事を公表した。都は「救急医療機関の意識も向上してきている」との評価を示しており、今秋にも医療機関側と救急隊側の受け入れに関するマッチング調査を行って検証を進める予定だ。(熊田梨恵)

 日本未熟児新生児学会(戸苅創会長)が、このほど『未熟児動脈管開存症ガイドライン』を作成・公表した。治療法などに関する33項目の推奨レベルを決定する際、すべての項目で患者家族とコメディカルの意見を取り入れた。参加した患者家族は、「ガイドライン作成過程が患者家族にオープンにされたことに意義があったと思います」と振り返る。この策定プロセスが広がれば、医療者と患者間にある知識や認識の違いを緩和する一歩になるのかもしれない。(熊田梨恵)

 総務省消防庁は21日、毎年実施している救急患者の搬送・受け入れの全国実態調査で、今年度は脳卒中患者の状況を調べることを決めた。照会回数や現場滞在時間など救急隊側の情報は消防庁が吸い上げ、確定診断名や転帰など医療機関側のデータは厚労省が集めて、省庁間でマッチングすることを想定している。厚労省が様式の見直しを進めているDPC情報の活用も視野に入っており、医療側に踏み込んだ調査となりそうだ。(熊田梨恵)


 国立がんセンターが独立行政法人され、嘉山孝正理事長によって猛スピードで改革が行われているようです。一方その蔭で、何やら一部の厚生労働官僚による不穏な動きも始まっているとのこと。前国立がんセンター中央病院院長の土屋了介・癌研究会顧問に聴きました。(聴き手・川口恭)
(このインタビューは4月30日に行われましたが、6月8日の出来事を受けて加筆されました)

提出.jpg 子宮頸がん予防のワクチン接種に関する普及活動などを行う12の市民団体や学会らは28日、ワクチン接種の公費助成を求める要望書を民主党の小沢一郎幹事長宛に提出した。申し入れを受けた今野東副幹事長は子ども手当を使った助成も検討しているとして、前向きな姿勢を示した。(熊田梨恵)

 米国内科学会が、世界各地で社会貢献活動を行った会員を毎年表彰している『Volunteerism and Community Service Award』に、周産期医療の崩壊をくい止める会で活動した2医師が選ばれた。カナダ・トロントで22日から始まる同学会総会で表彰式が行われる。(川口恭)

 医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』(委員名簿はこちら)の2回目会合が31日開かれた。約50日ぶりの開催とあって、どのような進展があったのか満場の傍聴人が見守ったが、何のために手間をかけてやっているのか分からなくなる本末転倒な議論が随所で展開された。特に、保険局が医薬食品局を弾除けに使っていて、それが話をややこしくしていると分かるやりとりをご紹介する。(川口恭)

 先月11日の事業仕分けで漢方薬を含む市販品類似薬を保険適用外とする方針が示されたことに対し、日本東洋医学会、NPO健康医療開発機構、日本臨床漢方医会、医療志民の会の4団体が集めていた漢方薬の保険適用継続を求める署名は最終的に92万4808人分に達したという。4団体は前回提出した1日以降の追加分署名を16日、改めて厚生労働省に提出した。(川口恭)

 日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)は来年1月1日から、妊産婦死亡が起こった場合に現場の医師がスムーズに病理解剖につなげられるよう情報提供し、必要に応じて医会本部による原因分析や追跡調査を行う「妊産婦死亡報告システム」を始める。石渡勇常務理事は、現状では医療事故が起こった場合に「解剖せざるを得ないとなると(警察に届けて)司法解剖にゆだねることになる」と述べ、24時間対応で病理解剖につなげられるシステムにしたいと強調した。(熊田梨恵)

 日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)は9日に開いた記者懇談会で、医療問題弁護団(鈴木利広代表)から提出された「福島県立大野病院事件」に関する事故調査委員会の設置などを求める要望書に対し、「個々の事例についての再度の検証はなかなか難しい」として個別検証を行う予定はないとの見解を示した。国内で発生した妊産婦死亡の事例についてシステム的に検証を行っていくなど「トータルとしての医療の底上げ」で再発防止を図りたいとした。(熊田梨恵)

 日本臨床整形外科学会の藤野圭司理事長は3日に開かれた民主党の医療議連のヒアリングで、行政刷新会議の「事業仕分け」で整形外科医の年収が「4200万円」と示されたことに反論し、実際の年収は「583万円」と主張した。どうしてここまで大きく食い違うのだろうか。(熊田梨恵)

 2008年に日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)に寄せられた、医療紛争になる可能性があると医療機関が判断した妊産婦死亡など産科関連の医療事故は350件あったことが同会のまとめで分かった。このうち同会が報告書の提出を求めたのは178件で、分娩時の母体や胎児の異常に関するケースが過半数を占めていた。(熊田梨恵)

 「整形外科医が行う運動器などのリハは年間5600億円。一方で柔道整復師による捻挫などへの施術には3800億円が使われている。これをどう見るか」「柔道整復師への保険給付費が日本の医療統計のどこに入っているのか、何度厚労省に聞いても分からない。正体不明の数字だ」「接骨院も整形外科も、患者にとっては両方に『先生』がいる」―。腫物に触るように扱われ、医療界の"ブラックボックス"とされる柔道整復師の保険請求問題が、にわかにできたばかりの民主党の医療議連で話題に上がった。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員約120人が集まる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は1日の記者会見で、予算編成終了後は議論の幅を医療・介護政策全般に広げていくとの方針を示し、今後の活動内容が来夏の次期参院選の医療マニフェストにも影響する可能性を示唆した。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員からなる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は1日、国会が閉会する4日までに、厚労省と財務省の政務三役に対し、医療費の増額を要望する方針を明らかにした。小沢一郎幹事長にも同様に求めていくとして、「これをやらないと選挙は勝てない。医療業界の関係者はみんな民主党の政策に期待している」と述べた。(熊田梨恵)

 「これでまた"墨東"の悲劇が起きた時に仕分け人はどう責任を取るのか」-。「事業仕分け」でNICU(新生児集中治療管理室)不足を解消するための支援策を盛り込んだ周産期医療に関する補助金が削減される判定が出たことについて、日本未熟児新生児学会の田村正徳理事(埼玉医科大総合医療センター小児科教授)に聞いた。(熊田梨恵)

左から吉村顧問、河野副会長、小川会長、嘉山委員長.jpgのサムネール画像 行政刷新会議の「事業仕分け」作業で診療報酬配分の見直しによって2010年度診療報酬に対応するよう求める判定が出たことについて、全国医学部長病院長会議(小川彰会長)は26日、鳩山由紀夫首相らに対し、「マニフェストを無視するものであり到底容認できない」とする声明を提出した。中医協委員も務める嘉山孝正同会議委員長は27日の会見で、次回改定で病院の入院基本料を50%引き上げるよう要望した。(熊田梨恵)

 妊婦の救急け入れ不能の原因の一つとされるNICU(新生児集中治療管理室)不足を解消するための支援策を盛り込んだ事業が、「事業仕分け」で「半額計上」と判定されたことを受け、日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)は26日、補助金削減に反対する緊急声明を藤井裕久財務相らに提出した。(熊田梨恵)

 勤務医の立場から"医療再生"を訴え、日医に代わる新しい「公」的な医師組織の在り方を提言する小松秀樹氏(虎の門病院泌尿器科部長)は22日、全国医師ユニオンの集会に参加し、日医は社会的な存在意義をなくしており、公益法人制度改革では「公益社団法人」を選択できないと主張した。その上で、日医の受け皿となる新しい法人について「作戦を立てている」と述べ、既に小松氏の方で新しい定款を準備している事を明らかにした。(熊田梨恵)

 大学附属病院や国公立病院など地域の拠点となる国内1549か所の病院のうち168か所が、「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業を認める36協定を結んでいたことが22日、全国医師ユニオン(植山直人代表)の調査で分かった。協定を締結する職種に医師が含まれていないものもあることなどから、ユニオンは「全国の公的な医療機関の多くに労働基準法違反がある」との声明を発表。政府与党や厚生労働省に対し、勤務医の労働環境改善や、労基法を順守する医療機関を評価するような診療報酬の創設を求めた。(熊田梨恵)

 行政刷新会議の11日の事業仕分けで、漢方薬が湿布やビタミン剤などと共に保険適用を除外するかどうか検討され、ほとんど議論のないまま全体としては除外する方向でまとまった。まだ漢方薬が保険から外されると決まったわけではないが、関係する医師や患者らが危機感を募らせ署名活動を始めた。(川口恭)

 8月の総選挙で落選した自民党の橋本岳・前代議士は8日『現場からの医療改革推進協議会』で、「日本医師会が自民党支持を見直して、各党と是々非々というのは、西島先生(英利参院議員)が組織内にいて来年自民党から出ると言うのに冷たいなと思うし、日医のそういう態度が医療に対する政治的な信頼を失わせている」と、自分たちの体制はそのままで自民党に距離を置き始めた日本医師会執行部を批判した。(川口恭)

 治験なしの「公知」で医薬品医療機器総合機構(PMDA)が薬の適応拡大を認めた例について検討・評価した論文が、このほど米臨床腫瘍学会誌(Journal of Clinical Oncology)に掲載された。論文の第一著者は、「医療に関する行政判断に対して学術的検討を加えた例は世界的にも珍しいと思う。法の分野で、判決に対して判例研究が盛んに行われていることを考えると、今後はこのようなアプローチの重要性が高まっていくだろう」と話している。(川口恭)

 「ヒブワクチン」や「肺炎球菌ワクチン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。5歳未満の子どもが発症し、発達障害など重度の後遺症を残しやすい「細菌性髄膜炎」の予防に有効とされ、海外ではWHOの勧告を受けて定期接種化が進んでいるワクチンだ。「ワクチン後進国」とも言われる日本では定期接種化されておらず、患者会などが要望を続けている。どんな病気で、現状はどうなっているのだろうか。(熊田梨恵)

中医協人事質疑1026.jpg 「5人のお医者様すべてが日本医師会の会員」「安達先生は(日本)医師会の診療報酬検討委員会の委員長で診療報酬に関しては権威」─。日医執行部を外す中医協人事を発表した10月26日の会見で、長妻昭厚労相は"日医外し"の人事ではないことを強調した。長妻厚労相の質疑応答は以下の通り。(新井裕充)

中医協人事会見1026.jpg 今月1日で任期切れとなった中央社会保険医療協議会(中医協)の委員について、長妻昭厚生労働相は10月26日午後7時から厚労省内で会見を開き、支払側委員2人、診療側委員4人、専門委員1人の計7人を改選する人事を発表した。日本医師会(唐澤祥人会長)の執行部3人を外し、京都府医師会副会長、茨城県医師会理事、山形大学医学部長を新任するほか、専門委員ではコメディカルを代表する委員として新たに日本放射技師会会長を選任する。審議が中断していた中医協は早ければ30日に再開される見通し。(新井裕充)

 日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)が公表した、助産師の数に関するデータが興味深かったので紹介したい。養成校からは毎年約1300人の助産師が卒業して医療機関などに就職しているが、全体で働いている助産師の数自体は平均で前年比約300人程度しか増えていない。定年で辞めていく人もいるとみられるが、同会の神谷直樹常務理事は多くが"潜在助産師"になっているとして「家庭に入っているのではないか」との見方を示している。(熊田梨恵)

司会の埴岡健一氏.jpg 「医療崩壊とか救急・産科の(受け入れ困難)問題とかで多くの人が『医療に問題がある』と認識している。これは裏返せば、(医療)基本法成立へのエネルギーになる」─。医師の計画配置や患者の義務などを盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、長妻昭厚生労働相の政策ブレーンとされる埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)が声高らかに語った。(新井裕充)

 がんについてのよろず相談が受けられるお医者さんというイメージ―。「がん治療認定医」という言葉を聞いたことがあるだろうか。がんは日本人の死因のトップであるにもかかわらず、専門が細分化され過ぎているために医師によって勧める治療法もバラバラで、インターネットや雑誌に溢れる情報も信頼できるかどうかが一般からは分かりにくいなど、がん医療をめぐる問題は多い。こうした中、どこに行って何を聞けばよいのか分からない患者のための相談窓口をつくるために生まれたのが「がん治療認定医」だが、まだまだ国民に知られていない制度だ。(熊田梨恵)

仕切る埴岡健一氏1018.jpg 「民主党のマニフェストでは、残念ながら医療問題を解決できない」─。医師の計画配置や患者の義務を盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、現役の官僚がついに声を上げた。「自民党の時はもっと自由に言えた」としながらも、来年夏の参院選で「民主党なり最大野党の自民党のマニフェストに書いてもらえば成立は現実化する」と訴えた。(新井裕充)

読売新聞の田中秀一氏.jpg 日本医療政策機構の理事を務める埴岡健一氏らが推進する「医療基本法」について、読売新聞医療情報部長の田中秀一氏は、「医療は医師や患者の勝手になるものではなくて、公共財という視点で考える必要がある」などと力説している。「医療基本法」は、医師や患者に義務を課す強権的な法律なのだろうか。(新井裕充)

日本医療・病院管理学会1017.jpg 医師不足の解消など医療再生計画を策定した都道府県に国が支給する「地域医療再生基金」について、厚生労働省の担当者は「ハコモノじゃなくて、マンパワーの確保ということが一番大事だ」と指摘した上で、「どこかの病院1つだけを大きく建て替えるためにたくさんのお金を使うというのは好ましくない」と強調している。同基金の実体が、「医師の計画配置」を進めるためのバラマキ政策であることが再確認されたといえる。(新井裕充)

 日本産婦人科医会の寺尾俊彦会長(浜松医科大学長)は14日に開いた記者懇談会で、助産師不足を解消するために現在の実習で「10例程度」必要とされているお産件数を半減することなどを提案した。「残る5人を卒後にしてはどうか」と述べ、助産師の卒後研修の必修化を求めた。(熊田梨恵)

10月5日のDPC評価分科会2.jpg 「ちょっと複雑で、我々自身も知らなかったポイント」─。診療報酬が高くなるように請求する"裏技"を病院団体が告発して、厚生労働省が調査に乗り出すという奇妙なことが起きている。医療現場の改善につながるような政策を提言すべき病院団体がまるで警察犬のように嗅ぎ回り、厚労省の取り締まりに手を貸している。(新井裕充)

日医委員0918.jpg 「長妻さんは年金がご専門だから」─。民主党が掲げる中医協改革に、業界紙の記者などから疑念の声が上がっている。鳩山政権が発足して初めての開催となった9月18日の中央社会保険医療協議会(中医協)は、まるで何事もなかったように議事が進んだ。「肩すかしを食らった」とこぼす記者もいる。中医協改革はいつ実施されるのだろうか。(新井裕充)

中井先生.jpg
インタビュー
中井章人氏(日本医科大附属多摩永山病院副院長)

 「今は所得も医療も『格差』の時代。だからこそ、どこにいても一定の医療が受けられる標準治療が大事。"神の手"は今の苦しい産科医療にはそぐわない。そのことを国民にも理解してほしい」-。"医療崩壊"が顕著に表れているとされる産科医療。医療資源が不足する中で妊婦や患者へより良い医療を提供していくための考え方と実践について、永山病院で「多摩永山方式」と言われる産科のセミオープンシステムを始めた中井教授に聞いた。(熊田梨恵)

 全国医学部長病院長会議が11日、新政権に対する要望として、旧政府に対して要望してきた事柄を9項目にとりまとめた形で発表した。「特に新しい項目はない」(小川彰会長)と言いつつも、省令見直しが行われたばかりの医師臨床研修制度なども含め医師教育の抜本的改革を求める内容になっている。(川口恭)

和田和子先生.jpg
インタビュー
大阪大学医学部附属病院
総合周産期母子医療センター 和田和子氏

 「今、大学病院にNICUを充実させるための追い風が吹いています。この波に乗って卒前教育を充実させ、人材確保につなげるべき時です」-。国内で相次いだ妊婦の救急受け入れ不能問題を受け、手薄だった国立病院NICUを充実させるために国も本腰を入れ始めた。「大学病院」という組織にあるNICUに求められる役割は何なのか。「大学病院は周産期センターほど忙しくなくていいのです。余裕を持った教育や研究体制が必要です」。10年にわたり、大学病院で新生児医療に携わる和田和子氏に聞いた。(熊田梨恵)

 国立大のNICU(新生児集中治療管理室)病床数を増床してNICU未設置の大学をなくすなどの内容を盛り込んだ「周産期医療体制整備計画」が今年度から始まることに伴い、不足が深刻な新生児科医の大学への引き上げが懸念されている問題で、増床予定と報道された24校のうち22校で医師の"引き上げ"はなかったことが、阪大医学部小児科の和田和子講師の調べで分かった。(熊田梨恵)

篠塚淳さん.jpgインタビュー
篠塚 淳さん(卒後5年目、32歳)
宇治徳洲会病院 小児科(京都府宇治市)

 日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)の教育セミナーに参加した若手医師に、"医療崩壊"に対する意識や臨床研修制度など教育の在り方について聞いた。(熊田梨恵)

■〔新生児医療の教育現場から①〕若手医師から医療界に提言し、現場を変える
■〔②〕主治医制と交替勤務制、よりよい労働環境は?
■NICUについての詳細は、こちら

議論中の様子.jpg 「NICUの交替制勤務の実現で『協力、安定、標準化』の医療を約束し、若手医師が集まる魅力的な労働環境を提供します」、「日本の周産期死亡率世界一に導いた、『人情、根性、責任力』の主治医制を維持していきます」-。新生児医療に携わる研修医が、主治医制と担当医制の是非について、学会の教育セミナーでプレゼンテーションした。今の若手医師は、医師の労働環境をどう考えているのだろうか。(熊田梨恵)

■〔新生児医療の教育現場から①〕若手医師から医療界に提言し、現場を変える
■NICUについての詳細は、こちら

新生児の気道検査法セミナー.jpg 「この教育セミナーの中で、若手医師にNICUの交替制勤務や看護師との連携などを考えていってもらいたい」-。若手医師に今の新生児医療の在り方を考えてもらい、新生児科医同士のネットワークを作ってもらおうと、日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)の2泊3日の教育セミナーが長野県安曇野市内で開かれた。医師不足の解消を図るための医学部定員増が決まった中、若手医師の教育は医療界全体の喫緊の課題だ。医師不足が深刻な周産期医療界の中でも、特に少ないと言われているNICUで働く新生児科医の教育現場の様子を取材した。(熊田梨恵)

 今年度の補正予算で約2700億円を計上されている「最先端研究開発支援プログラム」の選定結果が4日に発表されたことを受け、民主党の鈴木寛政調副会長は「野田(聖子科学技術政策担当相)さんは附帯決議通りやると仰ってましたので、やられたかどうかを国民の皆さんと共に、またそこに携わられた皆さんと共に検証していきたい」と述べた。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、「病院と協力して頑張ってやっている開業医から聞こえる声と、民主党の診療報酬引き上げ策に反対している日医と、どちらを信じていいのか判断がつかない」と述べ、開業医の"実態"を知りたいと要望した。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、日本医師会(唐澤祥人会長)が政権与党になる民主党に対し、政策提言するなど協議の場を持っていくとの姿勢を示したことに対し、「医療費2200億円を引き下げると言っていて、医療費を削減し続けてきた自由民主党の"党員"の方々と(次期参院選の)マニフェストを作るのは政党人としてあり得ない」との見解を示した。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」が政治献金の配分を見直すと報道されていることについて、「民主党は『企業献金を廃止する』とマニフェストでうたわせて頂いているので、それを読んで頂きたい」と述べた。(熊田梨恵)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は今後の活動について、政治家や医療者、一般国民代表、学術関係者などから成る「社会保障制度改革国民会議(仮称)」を設置し、医療政策などを整備していくとの意気込みを示した。「民主党も乗れる話」と、考え方は違わないとして共に協議していきたいとした。(熊田梨恵)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は今回の衆院選に伴い自民党が野党になることで、従来の厚労省との関係がなくなるとして、「自民党の政策立案のやり方を変えなければいけなくなった。この"二人羽織り"の世界はなくなった」と述べた。(熊田梨恵)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は3日、「唐澤(祥人日本医師会会長)さんの自己批判というか反省がないと、我々もまともな話ができない」と、医療よりも利権拡大に寄ってきた従来の医師会の体質を改めるべきと求めた。(熊田梨恵)

 国立大学医学部長会議(安田和則北海道大大学院医学研究科長)常置委員の嘉山孝正氏(山形大医学部長)は2日、民主党が「最先端研究開発支援プログラム」の選定内容を見直すよう求める申し入れを行ったことを評価した上で、「本来のライフサイエンスや科学技術費用として使われるのならよいが、これは経団連が喜ぶような箱物が中心に選ばれていた」と苦言を呈した。(熊田梨恵)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長、がん治療の前進をめざす議員懇談会会長)は2日、「ナショナルセンターに経営学や経営術、そして医療が分かる人が必要」との見方を示し、国立病院に経営の専門家を投入することが必要との見方を示した。(熊田梨恵)

 国立大学医学部長会議(常置委員会委員長=安田和則北海道大医学部長)の嘉山孝正氏(常置委員、大学医学部の教育病院の在り方に関する検討委員会委員長)は2日、今回の衆院選で初当選した民主党の地元新人議員に対し、医療や教育の現状についてロビー活動を行うよう全会員に連絡したことを明らかにした。(熊田梨恵)

 20日のインフルエンザワクチンに関する意見交換会で厚生労働省の福島靖正・結核感染症課長が「肺炎球菌ワクチンの副作用が非常に強い」と発言したと一部メディアで報じられたことに対して、山形県保険医協会が26日付で舛添要一厚生労働大臣宛に「発言の真意を質す」との要望書を送付した。(川口恭)

 全国42の国立大学医学部首脳でつくる国立大学医学部長会議が常置委員会名で21日、自民、民主、公明の3党に要望書を出した。医師数増、国立大学医学部定員増、医学部教職員増、大学設置基準見直しと高等教育費増、大学病院の借入金解消などを要望している。(川口恭)

 全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は8月6日、30日に投開票される衆院選に向け、各政党の医療政策を問う公開質問状を送付した。医療費や医師の労働環境、アクセス制限、医療事故調査委員会などに関する回答を求めており、17日には全医連のホームページ上で結果を公表する。(熊田梨恵)

 日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が昨年実施した会員病院に対する調査によると、褥瘡のある患者5725人のうち、過半数が病院内での発生だったことが分かった。リハビリテーションを実施している褥瘡患者は57.0%で、前の月と比較して状態が改善した患者は36.2%、悪化した患者は14.8%だった。武久会長は褥瘡の院内発生について「医療療養病床も介護型療養病床も高率にある」との認識を示している。(熊田梨恵)

 10日の「第11次へき地保健医療対策検討会」では、事務局が座長に梶井英治・自治医大教授(地域医療学センター長)を指名した後、先進的な取り組み事例として高知、三重、長崎、島根がそれぞれの取り組みを紹介。第10次計画がスタートした後の班研究結果について説明が行われた後、最後の20分ほど自由討論が行われた。そのやりとりをご紹介する。(川口恭)

iryougakkai.JPG 昨日まで元気だった人が急に倒れて亡くなる突然死が毎年約10万件発生しており、その6割ほどは心臓に原因のある『心臓突然死』らしいということが、11日に開かれた日本医療学会のシンポジウムで発表された。シンポジウムでは、この心臓突然死を減らすため国民的運動を展開することが宣言された。(川口恭)

 骨髄移植推進財団に解雇された元総務部長が地位確認などを求めて争っている民事訴訟について、舛添要一厚生労働大臣は8日の衆議院厚生労働委員会で「訴訟に関しては係争中なのでコメントしないが、(略)係争に貴重なお金を使うぐらいなら患者負担を減らしたらどうかということも含めて、どのような形で財団を指導できるかよく検討したい」と述べた。(川口恭)

 多くの勤務医が労働基準法違反の時間外勤務や当直勤務を強いられていると問題になっているが、当の勤務医たちは法律の規定を知らないのかもしれない--。そんな実態が消化器外科学会が会員を対象に行ったアンケート調査から浮かび上がった。(川口恭)

 緩和医療というと一般的に成人のがんに対するターミナルケアという印象が強いが、子どもの場合になると、約6割が脊髄性筋萎縮症などの神経筋疾患や18トリソミーといった先天性の染色体異常などの進行性で障害を伴う病気だという。成人に対する緩和医療も発展途上の段階で、まだまだ知られていない小児緩和医療。日本小児医療政策研究会での報告を聞いた。(熊田梨恵)

 日本医師会の内田健夫常任理事は6月27日、厚生労働省の2010年度予算概算要求に対する日医の要望について、小児医療分野の一部を明らかにした。当直医や救急担当医、へき地で働く医師に対する人件費補助のほか、小児救急医療の充実、小児デイケア・ショートステイ施設の整備などを求めるとした。(熊田梨恵)

 厚生労働省が今年度から始めた、産科医などに分娩手当を支給する医療機関への補助金事業について、医療現場や自治体から「頑張っている産科施設に補助金が渡らず、勤務医の待遇改善につながらない」との声が上がっている。3月半ばになってから急きょ、「正常分娩の費用が50万円未満」などの条件がついたためで、厚労省からの情報伝達の不備を指摘する関係者もいる。(熊田梨恵)

久常節子会長0616_1.jpg 「従来は(看護職の)数。全部、数ですよね? それだけでなく専門性の高い看護職の配置を考慮していただきたい」―。2010年度の診療報酬改定に向け、日本看護協会の久常節子会長は看護職員の数よりも専門性ある看護師の評価を求めていく考えを示した。(新井裕充)

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 国立大学医学部長会議常置委員会(安田和則委員長)は6月12日、国立大学が抱える国からの借入金約1兆35億円の解消などを求める要望書を、本日付で麻生太郎首相など関係閣僚に送付すると発表した。財政制度等審議会(財政審)がまとめた来年度予算編成への建議を受けたもの。安田委員長は都内で開いた記者会見で、「この足かせがなくなれば、国民への医療に貢献できる」と述べた。(熊田梨恵)
 

小川会長(右)嘉山委員長.jpg
 医学部や医科大学のトップなどで構成する全国医学部長病院長会議(小川彰会長)は6月11日、財政制度等審議会(財政審)がまとめた、医師の計画配置などを求める2010年度予算編成に向けた建議を批判する提言を発表した。国の規制によって医師を配置するのではなく、医局の派遣機能など大学の調整力を回復させるべきと主張している。(熊田梨恵)

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 全国医師連盟(黒川衛代表)は6月7日、財政制度等審議会(財政審)がまとめた医師の計画配置などを提言する2010年度予算編成に向けた建議について、医療費抑制を前提としたものと指摘した上で、「財政審が提言すべきだったのは、医療・介護・福祉などの社会保障費の増額」と主張する見解を発表した。(熊田梨恵)
 
 

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 全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は6月8日、都内で集会を開き、勤務医の労働組合の「全国医師ユニオン」を設立したと発表した。医師が個人で加入する全国規模の労組は初めてになる。代表に就任した植山直人氏(老人保健施設みぬま嘱託内科医)は、「医療人が団結するのが今ほど重要な時はない。全国医師ユニオンに入っていただき、日本の医療のためにともに戦っていただきたい」と呼びかけた。(熊田梨恵)

 新型インフルエンザに対し、ほぼ沈黙したままだった日本感染症学会が21日、「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」という緊急提言を発表した。数年以内に全国民が感染するとの見通しを示すとともに、患者を発熱外来だけで受け入れる時期は既に過ぎており、全医療機関での診療と感染予防対策が求められるとの見解を明らかにしている。市独自の判断で、封じ込めから蔓延期対応に切り替えた神戸市の対応を追認する形だ。 (川口恭)

4月9日の「先進医療専門家会議」.jpg 「やるたびに何万円も赤字になってしまう。せっかく保険収載してもらったのに、全くできない状態」―。高度な医療技術について検討する厚生労働省の有識者会議で、金子剛委員(国立成育医療センター形成外科医長)は、先進医療として認められていた医療技術の値段が、保険適用されると下がってしまうことを問題視した。(新井裕充)

『医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班』(班長:土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)の最終第11回会合が25日開かれ、科や地域の医師偏在を是正する機能などを持った独立機関の卒後医学教育認定機構(仮称)設立を要望する報告書の提出を決めた。(川口恭)

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