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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

なぜ? どうして? 花粉症の謎。

「とにかく一刻でも早くよくなりたい」から。

 部位ごとに対症療法を説明します。
 目の場合、点眼薬を主に使います。特によく使われるのが抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬とステロイド薬です。
 抗ヒスタミン薬はヒスタミンが末梢神経に近づくのを妨害する働きがあり、即効性に優れます。
 遊離抑制薬はヒスタミンが肥満細胞から放出されるのを妨害する働きがあります。副作用はほとんどありませんが、確かな効き目が現れるまでに1~3週間かかるものなので、むしろ花粉の飛び始める前から予防的に使い始めることが推奨されています。始める時期としては、スギ花粉症なら、まさに1月の今くらいが適しています。
 ステロイド薬は、ホルモンです。アレルギー反応を一時的に抑制して、アレルギー性炎症を止める働きがあります。ただし、副作用の心配もあります。使い続けると起きやすいのは緑内障です。自覚症状がないので、長期に大量使った場合は、眼科で必ず定期検査を受けるようにしましょう。
 鼻の場合も、基本の役者は同じですが、こちらは飲み薬がよく使われます。
 とりあえず症状を止めるには、風邪薬としてもポピュラーな抗ヒスタミン薬を使います。ただし、ヒスタミンは脳内で「やる気」を起こさせる科学伝達物質でもあるので、内服した場合、眠気に襲われる可能性があります。最近は眠気の少ないものも出てきていますので、眠くなって困るなら医師に相談してください。
 遊離抑制薬は点眼薬のところでも説明したように、効果の現れるのが少し遅く、症状が出てからより、事前に飲んだ方がよいとされています。症状が始まる2週間ほど前から飲み始めると非常に楽に過ごせるようになります。
 この辺の薬は日進月歩で、また人によって効くか効かないかが随分違ったりするものでもあります。効き目が悪いなあと思ったら医師に相談してください。同じ種類の他の薬を処方してくれるかもしれません。
 上乗せで鼻づまりに対する効果を求めるなら点鼻薬を使うことになります。この場合、前述の3種類に加えて血管収縮薬を使うこともあります。点鼻の場合、ステロイド薬を使っても副作用はそれほど心配いりません。
 一本打てばシーズンが乗り切れてしまうほど効くけれど、副作用の危険も大きいのがステロイド注射です。胃潰瘍になったり、糖尿病になったりする可能性もありますので、使いたい場合は必ず専門医に相談してください。

漢方薬も使えます。5-1.2.JPG 免疫の暴走ゆえに治療が難しく決定版のない花粉症は、漢方治療も有力な選択肢となります。抗ヒスタミン薬による眠気のような副作用の少ないのが特徴で、抗アレルギー薬など一般的な薬剤との併用も可能です。  代表的な処方は表の通り。


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