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あの素晴らしい眠りもう一度。睡眠障害を語る。

睡眠障害とは主にこの4パターン
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 睡眠を評価するとき、何時間寝たかという「量」、熟睡したかという「質」、どの時間帯に寝ているかという「位相」、日中に過度な眠気を感じないかという「睡眠感」の4つの軸があります。何らかの理由で、4つのうちどれかが明らかに損なわれている場合を睡眠障害と呼びます。たとえ命に別状はなくとも、QOLには多大な影響を与えます。
 睡眠障害は90近い分類がありますが、大きく分けると4パターンになります。①不眠症②過眠症③位相異常④睡眠中の異常行動、です。簡単にそれぞれ説明します。
 「量」が足りない、もしくは「質」が悪いと患者が認識しているものが、不眠症です。大きく分けて次の3つがあります。寝付けない、途中で目が覚めてぐっすり眠れない、早く目が覚めてしまう、です。
 寝付けない場合、原因は精神的なものであることが多いのですが、中には「むずむず脚症候群」といって下肢に異常な感覚が出ている人もいます。これは、鉄欠乏性貧血など別に原因疾患があるものなので、その治療をしないといけません。
 途中で目が覚めるという場合、主に尿意、夢、脚の動きが原因になるようです。水分摂取に気をつけても尿意があるなら、前立腺肥大や尿路感染症などの可能性があります。夢で目が覚めるのは、ひょっとすると睡眠時無呼吸症候群かもしれません。脚が勝手に動いてというなら、それは周期性四肢運動障害の可能性が高いです。この障害の対処法はむずむず脚症候群とほぼ同じです。
 早く目が覚めてしまう場合、眠りにつくのも早いなら高齢化に伴う睡眠相前進症候群と考えられます。眠りに入る時間は変わらないなら、うつ病の可能性があります。
 続いて過眠症を説明します。
 日中に過剰な眠気が起きるものです。様々な原因が考えられます。多いのは、眠気を催す薬剤を服用している場合、うつ病が隠れている場合、単に睡眠不足が積み重なっているだけの場合、睡眠時無呼吸症候群の場合です。ほかに車の運転中などでも突然居眠りしてしまうナルコレプシーも挙げられます。
12-1.2.JPG 次の睡眠時間帯の位相異常は、主にリズム障害と呼ばれるものです。体内時計が狂った状態ですので、治すには規則正しい生活と日中に光を浴びて夜間に強い光を浴びないことが大切になります。
 最後の異常行動としては、錯乱、夢の通りに行動してしまう、てんかん発作、激しいいびきなどがあります。錯乱の原因になるのは、夜間せん妄、睡眠時遊行症、夜驚症など夢体験中に同じように行動することもあります。激しいいびきの背後には睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません。

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