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ドキッ! もしかして不整脈?

こんな時は要注意。

 では、治療が必要な「怖い不整脈」は、どういうものでしょうか。
 まず、不整脈そのものが命にかかわる場合が挙げられます。たとえば、心室細動は心停止と同じですし、徐脈では突然失神することがありますから、時と場合によっては墜落・交通事故を起こしかねません。心房細動・粗動などは血流が滞って血栓ができやすくなり、脳梗塞や肺塞栓の原因となります。これらのものを治療した方がよいのは当然です。
 また、不整脈の発生する原因として治療の必要のある疾患が隠れている場合は、その原疾患を治療しなければなりません。
 元にある疾患として考えられるのは、主に冠動脈疾患や心臓弁障害、心筋症など心臓の異常で、特に過去に心筋梗塞や狭心症になった経験のある人は冠動脈の状態が間違いなく悪く、ちょっとしたことが命取りになりかねないので、その治療が急がれます。
 ホルモン分泌の異常によって脈の速さがおかしくなることもあります。その場合、脈以外にも不都合が起きているはずで、分泌異常の治療をします。
 加えて、不整脈によって心臓から血液を送り出す能力(心拍出量)の低下が起きている場合、体力や運動能力の低下、ふらつき、めまい、失神などの症状が現れることがあり、症状自体が危険であると同時に、どんどん心機能が悪化する可能性もあります。治療が必要です。
 症状から見ると、
・失神する
・脈が50回/分以下なのに息切れがする
・突然、動悸が始まる
といった場合は、今までに挙げた事例に当てはまるので、すぐに医療機関で治療を開始しましょう。
 重篤な症状はなく、健康診断で引っ掛かっただけという方、なんだ心配ないじゃないかと決めつけるのは尚早です。症状がないからといって、心機能低下を起こさないという保証はありません。心の平穏のためにも精密検査を受けましょう。
 この場合、医療機関では怖い不整脈なのかそうでないのかを見極めるために、主に心電図を調べます(コラム参照)。ただし、検査だけではとらえ切れないものもあるので、自分自身で動悸など違和感に気づいているなら、それがどういう時にどの程度の頻度と長さで起きるのか説明してあげると良いでしょう。
 検査した結果、心機能に影響を与えないということが分かれば、患者がそれを不安に思わない限り、特に治療の必要はありません。
 病気が隠れていた場合、心機能低下の恐れがある場合、患者が不安に感じている場合は、治療が行われることになります。ただし治療にあたる医師には、非常に専門的な知識と技量が必要とされるので、循環器に強い医療機関を紹介されるかもしれません。

心電図検査あれこれ。  最も簡単な心電図検査は、腕、脚、胸に丸いセンサーを12個つけ、安静にして3分ほど電流の強さを測ります。  これだけでは異常やその原因がよく検知できなかった場合、歩いたり走ったりバイクを漕いだりという運動負荷をかけて心電図を取ります。運動ができない人には薬物を使って負荷をかけます。  また、日常生活での異常を検出するため、携帯型(ホルター型)心電計を体につけて24時間ずっと計測することもあります。

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