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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

知って得する 診療科のナゾ

36-2-1.JPG総合病院は、いくつもの診療科に分かれていますよね。当たり前です。
でも、どうして分かれているのか、その結果として何が起きているか、考えたことありますか。

監修/梶井英治  自治医科大学教授

何のためにある?
36-2.1.JPG まず医師も人間であり、その能力に限界がある、という当然のところから話を始めます。医師一人ひとりが自信を持って担当できる医療分野は無限ではなく、モデル的には平面上の台形に例えることができます。
 台形の面積は能力や経験によって個人差があるにしても、医学領域の間口と専門性の奥行きとは、奥行きを追求すれば間口が狭くなるし、間口を広く取れば奥行きは浅くなる。そういうほぼ反比例するものだということは、ご理解いただけると思います。そして、近年、医療が高度化・複雑化して、奥行きが急速に増していることもご存じですね。さらに社会の要求する水準も上がっています。必然的に一人の医師が担当できる間口・領域は狭くなります。
 診療科の話に戻ります。
 本誌は基幹病院に配置する冊子なので、皆さんも大きな総合病院にかかっている前提で話を進めます。基幹病院には、様々な間口の奥行き深い専門家たちがいるはずで、それはきっと患者として心強いことでしょう。
 でも、診療科がいくつにも分かれて、それぞれ名前がついていることは、患者にとってメリットがあるでしょうか。
 そもそも患者の立場からすれば、一刻も早く苦痛を取ってほしい治してほしいだけで、医師や看護師との人間的相性は別として、適切な医師が対応してくれるなら何科でも構わないですよね。
 理想を言えば、病状に合わせて最適な組み合わせの専門家チームに治療してほしいところです。さすがに医療資源も限られますから主治医一人になるのは仕方ないとして、最適の主治医が何科にいるか患者に分かるものでしょうか。
 患者に分かるのは自覚症状や経過です。しかし、それだけで原因となっている疾病やその発生場所を突き止められるものばかりではありません。先ほどの例えで言うところの、どの間口のどの奥行きの所へ行けば診断・治療可能なものか、分からないことも多いのです。
 もしそれが分かったとしても、今度は受診した医療機関の診療科にそれを担当する能力があるのか分かりません。診療科名に、医療側の決意としての「間口」は示されていますが、実際の間口についての保証はないからです。「奥行き」や「水準」に関しては、決意も実際の能力も分かりません(次項コラム参照)。
 つまり、診療科が分かれていて、そこにいろいろと名前がついていることは、医療提供側の人間にとっては重要かもしれませんが、患者自身がそれを参考に最適の受診先を選ぶことはできないものなのです。

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