皮膚科・眼科は診療報酬カット? 事業仕分け1日目(1)
行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けが11日から始まった。仕分けの結果として何がどうなるのか今ひとつ不明確だが、たとえば「診療報酬の配分」について『収入が高い診療科の報酬を見直す』とか『開業医の報酬を勤務医と公平になるよう見直す』などということが、圧倒的賛成多数の結論としてまとめられた。(川口恭)
ワーキンググループの取りまとめをした枝野幸男代議士は、厚生労働省の外口崇保険局長に対して「持ち帰って反映してもらいたい」と述べたので、いずれ中医協の場で議論されることになると思われるが、中医協の議論が、どこまでこの結論に拘束されるのかは、今日の所はよく分からなかった。
検討の論点を提案したのが財務省の主計官だったことからすると、予算査定の段階で反映されるのかもしれない。
診療報酬の配分に関するこの日の主なやりとりは以下のとおり。資料は、こちらの6ページ目からと、こちらの冒頭。
外口局長が「5分」と言われて事業概要を説明。それに続いて財務省の主計官
「論点を3つ提示したい。まず①、公務員人件費カットやデフレ傾向を反映させてはいかがか。1998年を100とすると、公務員の人件費は1割ほど下がり、物価も2%以上下がった。しかし薬価を除いた診療報酬本体は0.4%しか下がっていない。ということは物価ベースで見れば、実質的に診療報酬は実質的に5%(2%の間違いかもしれない)改善しているのと同じだ。そして医師の給与の大半は、税金や保険料から支払われており財源としては公務員給与に近い。診療報酬を仮に1%引き上げると約3400億円の医療費増、1700億円の保険料負担増として跳ね返る。このような状況下にあっては、全体の上積みをして勤務医に配慮するというのではなく。全体の水準を見直したうえで必要な所にあてる財源を捻出すべきでないか」
のっけから、診療報酬=医師の給与という刷り込みがさりげなく行われる。中医協の嘉山委員がいたら、ちょっと待て、と言うところかもしれない。主計官の説明は続く。
「②、収入が高い診療科の報酬を見直してはいかがか。主な診療科の医師数の変化を見ると、外科や産婦人科といった所で大きく減っている一方で、皮膚科や眼科が増えてしまっている。そして、それらの科の診療所の収支差額は、平均より1割2割高い。比較的リスクや勤務時間の短い診療科を中心に医師数が増えていると見られるので、リスクや勤務時間に応じた評価を実現するために、収入の高い診療科の報酬は見直すべきでないか。全診療科に一律に配分すれば、本当に苦しんでいる勤務医の助けにはならない。
③、開業医の報酬を勤務医と公平になるように見直すべきでないか。病院勤務医と開業医との年収は1.7倍の開きがあり、過去7年間の病院・診療科間の診療報酬配分、診療所における診療科間の配分はコンマでしか変わっていない。勤務時間は病院の方が長い。また診療所で休日診療を受ける方は99年の72.5万人が04年には32.8万人に減ってしまっている。なのに、収入は開業医の方が高いということで、勤務医が開業医へ流れて行ってしまっている。再診料や特定疾患療養管理料の格差を見直す必要があるのでないか。20年度改定で少しこのような手法が試みられたが、さらに大胆に進めるべきでないか」