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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

医師組織の構図

患者から見た場合

 医師にどういうメリットがあるかに着目して医師組織を見てきました。最後に、患者にどういうメリットがあるか、もしくはどういう形になればメリットが出てくるか考えてみましょう。
 そんなことを考えていいの、とビックリしたでしょうか。いいも悪いもなくて、ぜひ考えるべきです。というのも、今まで説明してきた組織に法的根拠のような社会的正統性があるわけではなく、自然発生的に存在していたものを追認しているだけなので、もし社会に与えるメリットよりデメリットの方が大きいならば、社会の総意として表舞台から退場してもらうことはできますし、そうでないと困るからです。
 話を戻します。患者からすれば、技量や知識の足りない医師、人格に問題のある医師には、できたら診てもらいたくありませんよね。そういう医師が現れないよう相互チェックを働かせて、もし現われたら現場から外して再教育するような機能がほしいところです。
 勤務医に関しては、過去には医局がその役割を果たしていたとの説があります。しかし弱体化して、その機能が失われつつあります。開業医に関しては、地域社会の口コミや郡市区医師会内部の指導力次第ということになり、ハッキリ担保するような組織はありません。結果として、多くの場合は残念ながら何か事件や事故の起きた後で、役所によって処分が行われているのが実情です。
 医療は専門性が高く部外者が口を出すとかえって変なことになる可能性も高いので、何とか医師たちで自律して、その過程や結果を自ら情報公開してほしいところです。しかし既存の医師組織は情報公開にあまり積極的ではありませんでした。何より、大前提となる医師資格はく奪や停止の権限を医師組織が持っていないため、たとえ問題のある医師がいても、本人が我関せずとケツをまくってしまえば手も足も出なくなるのです。
 そして、問題のある医師が患者に被害を与える前に未然に排除する仕組みがないことによって、医療者と社会との軋轢が無用に高まっていることは間違いありません。こう考えたら、何と『医療崩壊』にもつながっている話だったのです。
 さしあたって私たち患者にできるのは、医師全部を包含する自律の仕組みがないと認識すること。そして身の回りの医師に対して、自律の仕組みをつくるよう要求し、そのような動きが出てきた時には応援することのようです。

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