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対象者以外への接種 厚労省と日医が取り締まる?

 昨年、余った新型インフルエンザワクチンを優先接種対象者以外に使ってメディアに吊るし上げられる医療機関がいくつか出たが、今後このような医療機関について厚生労働省は、日本医師会と連携して取り締まる方針らしい。(川口恭)

 27日に開かれた『第3回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会』(委員長・加藤達夫成育医療センター総長)で、今通常国会で行われる予防接種法改正の論点として示された。

 厚生労働省の提出したペーパーには「○今回の予防接種事業においては、国が定めた優先順位に従わずに接種を行う医療機関が見られたところであり、こうした医療機関に対してとり得る措置を検討することが必要。また、接種時の問診、接種してはいけない者への対応等を遵守していただくことが必要。  ○このため、適正な臨時接種の実施の確保のため、医療機関に対し必要な調査、報告徴収を行えるような仕組みを導入することが必要でないか。」となっている。

 加藤座長が
「今回、対象者以外に接種していた医療機関もあったとの噂を聞く。正しく接種が行われているかどうか調査する権限を設けるか、医師会レベルでご相談して詰めていただきたい」と述べ

 飯沼雅朗・日本医師会常任理事は
「加藤先生の仰るような事実を私も聞いた。現実にある。しかし大多数の先生方はあの忙しい中で真面目におやりになった。若干ある不届き者は、我々の自浄作用できっちりやっていくのが正しい」と応じた。

 飯沼常任理事はさらに
「今は医療機関の問題が議論されているが逆に、親の側の問題もあって、重複予約でキャンセルが増えて現場では困っている。都道府県の医師会長から日医の唐沢会長に要望書が出てくるほどの事態になっている。それから、この位の軽い病気なら、お金を払ってワクチンを打つより、かかってしまった方が安い、子供の医療費は無料だから、そんなことを言う親もいる。そういった面で教育も必要だし、医師会としても取り組みをする」と続けた。

 この論点は、このやりとりだけで終わりそうになったが、最後に宮崎千明・福岡市立西部療育センター長が、「悪質な例はあるにせよ、20人分のバイアルが1人分余って捨てるよりは打ってしまった方が国民のためだ。あまりそこを強調しすぎると、みすみす足りないワクチンを捨てることになる」と少しだけ留保をつけた。

 ちなみに昨年11月に行われた現場からの医療改革推進協議会の場で、余ったワクチンを捨てるべきか、接種対象者以外に打ってしまうべきかと壇上から問いかけがあり、ほぼ全員が「打ってしまうべき」の方に手を挙げた。予防接種部会と改革協議会と、どちらが世間知らずなのか興味深いところだ。

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