神経痛 うーん、まいった!
いよいよ本格的にシーズン到来! といっても、うれしい話ではありません。神経痛を持病とする人には、今年も厳しい季節がやってきました。神経痛は、「末梢神経が刺激されておこる激痛発作」。症状の名前であって、病名ではありません。手足や関節の決まったところが痛んで、秋から冬にひどくなったり、患者が増えたりします。とはいえ経験のない人には、腰痛や肩こりとの違いが、いまいちピンと来ないでしょうか。詳しく見ていきましょう。
神経痛って、こういうもの
何といっても特徴は、鋭く激しい痛み。刺すよう、ナイフで切られたよう、焼けるようと言う人もいます。それが突然、体の特定の部位に走るのです。継続するものもある一方、一瞬から数分の痛みがくりかえし現れる場合も。当初1日1回程度でしばらく続いた後、数カ月から数年間、嘘のように消えることもありますが、次第に発作の間隔が短くなり痛みも強まってきます。咳やくしゃみ、深呼吸程度の刺激で激痛が走ることも。
そもそも末梢神経は、体の各部位に脳からの信号(指令)を伝えたり、逆に体からの信号(情報など)を脳に伝える電話線のような組織。手足、目や耳、皮膚から内臓まで全身に枝分かれして広がっています。つまり、体のいたるところに神経痛の可能性があるということ。発生部位で分類すると一覧ができるほどです(表)。ただ末梢神経は脊髄から左右対称に出ているため、顔にしても背中や手足でも、神経痛が出るのはたいがい左右どちらか一方です。
気になるのは、神経痛をひきおこす原因。実はもともと、「原因不明の体の痛みを『神経痛』とくくって、とりあえず苦痛を和らげる治療を試行錯誤してきた」という経緯が神経痛にはあります。今では研究や検査技術も進んで原因が明らかになったものがだいぶ増え、それらは「症候性神経痛」と呼ばれるようになりました。何らかの病気(腫瘍、炎症、外傷、骨の変形など)が末梢神経を刺激して痛みがおきているものです。かたや今なお、検査しても原因がまったく見つからないケースもあり、「特発性神経痛」と区別されます。
症候性神経痛と特発性神経痛に分類するのは、治療の方針が違うため。症候性の場合には、原因となる病気の根本的な治療をまず始め、痛みを抑える治療も並行して行います。特発性であれば、最初から痛みを取り除くための治療に入ります。ただし、原因となる病気が治っても神経痛が後遺症として残ってしまった場合には、特発性神経痛として扱われることになります。