統合失調症 患者も誤解も多いんです。
症状は人によってさまざま。
統合失調症は、診断自体が難しい病気でもあります。理由はまず、症状の出方が人により違うこと。典型的症状が、ある人には全く出なかったりもします。さらに各症状が最初から一定でないのも通常です。次第に変化することが多く、経過はその人ごとに大きく異なります。そのため、一時の症状だけを見て他の病気と間違うことも珍しくないのだとか。
それでも一応、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)による診断基準としては、表のような症状が重視されています。各症状の説明が分かりづらいと思いますが、おおまかな捉え方として、症状を大きく3種類に分けることができます。
症状をあえて3分類すると
●陽性症状
幻覚や妄想など、「本来あるはずのないものが現れる」という特徴をもつ統合失調症の最も典型的な症状です。
幻覚は、視覚、嗅覚、触覚、味覚など、あらゆる感覚に現れますが、幻聴はこの病気の最たる特徴。そこにいない人の声が聞こえ、自分の悪口や噂について話してきたり、命令するといいます。
妄想は、非現実的なことを信じ込むもの。「皆が悪口を言って嫌がらせをする」「見張られている」といった被害妄想などがよく見られます。
その他、自分で考え行動しているのに他人から押し付けられている気持ちになったり、極度に興奮し、突然笑い出したり独り言を言い続けるなどの行動の異常も見られます。
●陰性症状
感情の起伏や自信、ヤル気などが、低下したり失われるものです。「根気や集中力が続かない」「意欲がわかない」「なぜか仕事や家事が億劫」といった生活意欲の減退が、著しい状態で継続します。
さらには、自分の感情に無関心、誰が話しかけても喋らない、という状態を経て、自室からほとんど出ず社会や他者との交流のない「ひきこもり」にも。心配した周囲の人に対し、急に興奮して怒鳴るなど、情緒も不安定です。
ところがこのような症状は、体調や環境により誰にでも生じえたり、「怠け者」「努力不足」などと見られて、病気の発見が遅れることもしばしばです。本人も病気と気づかなかったり、この症状だけ強く出ると、「うつ病」とも間違われやすいようです。
●認知機能障害
集中力、記憶力、整理能力、計画能力、問題解決能力などが著しく低下するものです。
その結果、例えば「人の話を聞いても、単語の意味は理解できるのに、文章全体は理解できない」「比喩表現が理解できない」「難しい用語も交えて滔々と喋るのに、全体として言わんとする意味がさっぱり分からない」などの問題が生じます。
また、意思の疎通ができないため、他者との協調性にも支障が出てきますが、中にはそれを何とも感じなかったり、思考が全く別な方向に向いてしまう人もいます。そのため近所づきあいや仕事、学業など社会生活に困難をきたしてしまうことも多いようです。