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梅村聡の目㉚ 考えてもらうため、社会保障の発信続けたい

今回の参院選は、残念な結果に終わりました。ただ、私にとって政治家であり続けることが目的ではありません。自分にとってできるすべてを使って、日本をよくするために、社会保障について発信し続けたいと思っています。

 今回、ネットによる選挙運動が解禁されたので、国会質疑や演説会などの動画をホームページに積極的にアップしました。国民皆保険や高齢者医療、生活保護など、皆さんの生活に直結するテーマばかりです。しかし再生回数は、ほぼ数百回、多くて千回を超す程度でした。大阪府選挙区の有権者数は約713万人で、50万票得なければ当選を見込めないのに、それぐらいの反応しかなかったのです。

 そこから見えたのは、一般の方にとってそれらのテーマは興味ないわけではないけれど、それよりも『アベノミクス』、『反原発』、『TPP』など一つの単語の方が伝わりやすいのだということでした。一文でも長過ぎて、一つの単語です。それを強く言えないと負け、そんな選挙だったと思います。テレビで名前や顔を知られている方が強いというのも顕著でした。

 私と直接会って、話を聞いてくれた人はほぼ私を支持してくださいました。しかし、そうでなければ、党の名前だけで判断されてしまいます。

 理屈が通らない。これが、今回の選挙で痛感させられたことです。今までやってきたことが伝わらず残念でした。

個人として発信を

 今後は、これまで大切だと思って皆さんへ伝えてきた社会保障の話を、もっと分かりやすく、身近な問題として考えてもらう活動もできるのでは、と考えています。

 国会議員の立場では、例えば大阪のローカル番組に出て医療の話をすることは難しいです。梅村聡個人の意見より、党としての立場や政治的意見を求められますし、選挙のための宣伝活動だと思う視聴者もいるでしょう。議員バッジがあることで、逆に情報発信を妨げている面もあると思うのです。

 今後、少子高齢化が一層進んで大変な時代を迎えることは目に見えています。自分たちの置かれている社会保障の状況について、正しい情報と知識を得なければ、生き残れません。

 しかし社会保障の話は、年金にしても介護にしても医療にしても、命に直結しているのに、言葉が難しくて理解しづらい面も多々あります。そこを分かりやすく伝え、考えてもらえるきっかけになる活動ができるかもしれない、と思うのです。

 手段として政治が必要、と考える時が再び来れば、その時は政治の世界に戻るでしょう。私の顔をテレビや雑誌などで見たことがある人がいて、『あの人はきちんとしたことを言う』と思ってもらえていたら、票につながるかもしれません。でも、まずは情報発信から始めたいと思います。

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