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控えようリン酸塩 摂ろうマグネシウム~【年間特集】血管を守る③

示はないけど リン酸塩入ってる

 食品の原材料表示の方法などを定めた「食品表示法」によって規定される「食品表示基準」では、惣菜や冷凍食品などの加工食品にリン酸塩を単独で使った場合は、ラベルに「ピロリン酸鉄」「リン酸Na」、2種類のリン酸塩を同時に使った場合は「リン酸塩(Na)」などと書く決まりになっています。

 こう書いてくれれば、量はともかく入っているということは分かりますね。しかし現実には、単独の使用でないために「リン酸」の文字を書かないというケースがほとんどなのです。

 このような表示の方法は、「一括表示」と呼ばれます。複数の食品添加物を特定の用途で使う場合に限り、物質名(簡略名)でなく、「保存料」「香料」といった使用目的ごとの一括名で示すことが認められているのです。配合した物質を一つひとつ羅列するよりも消費者にとって分かりやすいため、だそうです。

 表のような一括表示だと、リン酸塩が使われているかもしれません。
一括表示.png
 例えばpH調整剤。ありとあらゆる加工食品に使われていると言っても過言ではありません。pHは酸性度を表す単位で、「リン酸塩は、水分に溶け込むことで、味も臭いも変えないままpHを安定させ、保存性を高める機能があります」と黒尾教授。

 この「保存性を高める」という特徴も、リン酸塩が多用される大きな理由です。保存料を使わないと食中毒のリスクは大幅に上がりますが、一方で消費者には保存料は何となく体に悪そうという意識があります。このため「保存料」と書かなくても同じ効果を得られるリン酸塩は引っ張りだこなのです。CPPのことを知ってみると、実態を見ずに感覚だけで添加物の良し悪しを決めるのは、愚かなことかもしれないと気づきます。

 「調味料(無機塩)」と表示されている場合も、リン酸塩の可能性があります。また「調味料(アミノ酸等)」とある場合、「等」にリン酸塩が含まれている可能性はあります。

 この他、乳化剤としてプロセスチーズに使われたり、かんすいとして麺類に入っていたり、イーストフードとしてパンや菓子類に入っていたりと、リン酸塩は姿が見えないまま、色々な所で使用されているのです。

 黒尾教授は「リンはこれまで、あくまでも栄養素(体に必須のもの)と考えられてきました。だから、表示の必要性に対する意識が低いのでしょう」と言います。足りないかもしれないという方に意識が向いており、摂り過ぎの方には警戒が薄かったというわけです。
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