「世界自閉症啓発デー」で、第1回シンポジウムを開催
「世界自閉症啓発デー・東京宣言」では、市川浩志氏(当事者代表)と石丸晃子氏(日本自閉症協会副会長)が、自閉症児者への理解や社会の支援を求めた。市川氏は「社会に出て仕事がしたい。社会に出ることを楽しみにしています。社会の人に僕たちを信じてもらいたい。僕たちが安心して住める社会にしてください」と訴えた。
石丸氏は、日本で1952年から始まった自閉症の人たちへの支援の歴史を振り返り、「修学できなかった当時に比べ、医療、教育、福祉、各分野の理解や対応が格段に進みました。本日のこの会も、厚生労働省と日本自閉症協会が主催しています」と述べ、これまでの国の取り組みを評価した。
一方、自閉症支援の難しさについて、「本人たちの障害ゆえの苦しみや混乱が他の障害に比べ、私たちには想像、理解できにくい」としながらも、「最近では、適切な支援の継続があれば、一般就労やそれに近い労働、社会参加も可能な人たちであることが分りました」と指摘。
「60歳近い自閉症の人たちが周囲の人たちと折り合いを付けながら、穏やかに生活している事例が見られるようになりました。市川さんも、ご本人のお気持ちをしっかりと説明してくれました」と、自閉症児者を支える仕組みづくりの必要性を訴えた。
石丸氏は最後に、自閉症をはじめとする発達障害者の福祉に対する理解や社会の連帯が広がることに期待を込め、次のように述べた。
「障害を持つ人たちの存在は、人間の生き方と、その連帯の在り方に対する問い掛けであると考えることもできます。世界中で始まった自閉症啓発デーを勇気の源として、わたしたち家族や当事者、国や地方自治体などすべてが、障害特性について理解を深め、ごく日常的に支援ができる社会となるように連帯を広げていきましょう。わたしたちは、自閉症児者がわたしたちと同じ地域の一員として、障害を持ちながらも、『生まれてきて良かった』と言う人生を歩めるようになることを心から願っています」