「自閉症について知ってもらいたいこと」 松田文雄氏の講演
誤解や偏見を持たれることが多い自閉症への理解を求める「世界自閉症啓発デー」の4月2日、東京都内のシンポジウムで、広島市の松田病院院長の松田文雄氏が「自閉症について知ってもらいたいこと」と題して講演した。その模様をお伝えする。(新井裕充)
■「自閉症」という言葉から連想される誤解
はじめまして。広島から参りました松田と申します。このような会でお話をさせていただくのは非常に緊張しておりますけれども、(講演)時間厳守で。
私に与えられましたテーマは、「自閉症についてまったく何も知らない方にどう説明したらいいか」ということです。いろいろ悩みまして、私なりにスライドを作りました。では、始めたいと思います。
まず、「誤解」というところから始めたいと思います。これは、いろんなところでよく言われていることですけれども、「自閉症」という言葉から連想されるさまざまな誤解がある。
例えば、育て方の問題。「育つ環境によって、だんだん、次第に自閉症になってしまう」。こういった連想を抱きやすい。実際、そのように考える方もいらっしゃいました。
あるいは、「何か辛い出来事やショックなことがあって、それをきっかけにして、自分の殻(から)に閉じこもってしまう」など。「自閉」という言葉から、「心を閉ざしてしまう」「そういう病気になる」、こういう無理解や誤解があります。
また、そのような誤解から、「心の治療をしていけば完治する」「治療によって、辛いことから解放されて自閉が治る」、こういう連想があるようです。
実は、原因はまだはっきりと分かっていませんけれども、先天的に、何らかの脳の働きに問題が生じていると考えられています。