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ニュース〜医療の今がわかる

"とりあえず"医療でなく、個人に合わせた医療提供へ-オーダーメイド医療シンポ

 今回開催されたシンポジウムは、オーダーメイド医療について多くの国民に知ってもらうため、同プロジェクトが継続的に開催している普及啓発イベントだ。今回は定員500人をオーバーするほどの盛況ぶりで、東京都品川区内の会場には、入館待ちの来場者が長蛇の列を作った。


■人間、細胞、病気の「多様性」に合わせた医療提供の時代へ

中村祐輔教授.JPG

 中村氏は基調講演で、オーダーメイド医療に関する研究成果や、実際の効果などを示した。
 20世紀の新薬開発が、数多くある化合物からランダムに薬になる可能性のあるものを選んでいく方法だったことに対し、21世紀は特定の分子を標的に薬を開発しようとする「ゲノム創薬」に変わってきたことを指摘。また、医療についての考え方も、治療中心から病気自体の予防や重症化を防ぐ「『メディカル』プラス『ヘルスケア』の時代になってきた」と述べた。

 中村氏は、「われわれ人間には多様性があり、がん細胞にも個性がある。病気そのものにも多様性があるので、何に対してもOKであるという薬は現実には存在しない」と指摘。その上で、「今は病院に行くと、『とりあえず薬を出しておきましょうか』と言われる『とりあえず型』の医療。とりあえず薬を出してみて、様子を見ながら薬の種類を変えたり、量を増減したりして対応する。それでいい場合もあるが、病気が悪くなったり、重篤な副作用に苦しんだりする方もたくさんおられる。これは『あてずっぽう医療』ともいえる。科学的に病気の性質を明らかにし、その人に合った、副作用がない薬を提供したいというのがこのプロジェクト」と説明した。


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