"とりあえず"医療でなく、個人に合わせた医療提供へ-オーダーメイド医療シンポ
「今の医療は、『とりあえずこの薬を出しておこう』という"とりあえず"型医療。そうではなく、『科学的に病気の性質を明らかにし、その人に合った、副作用がない薬を提供したい』と考えるのがこのプロジェクト」-。日本のゲノム研究の第一人者である、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔氏は4月7日、一人ひとりの体質に合った医療や薬を提供することで副作用のリスクなどを減らし、患者のQOLや医療の質を向上させようという「オーダーメイド医療」の普及啓発シンポジウムで、詰め掛けた約500人の聴衆に呼びかけた。(熊田梨恵)
■オーダーメイド医療とは?
オーダーメイド医療は、個々の患者の遺伝子のタイプを把握しておくことで、病気の状態を正確にとらえて副作用のない有効な治療薬や治療法を提供していこうとする、新しい医療提供の在り方だ。
日本では、政府が2000年に産官学連携で技術革新を進めていこうとする「ミレニアムプロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)」をスタート。ゲノム研究は高齢化分野のプロジェクトに位置付けられ、オーダーメイド医療を実現することで、がんや糖尿病治療など5大疾患の治療に役立てていこうとする方針が盛り込まれた。その後、04年には中村氏が率いる「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」が、文部科学省の支援を受けながら、10年間の計画で進められている。
同プロジェクトでは、東大医科学研究所内にある「バイオバンク」で保管されている、約20万人の患者から提供された30万症例分のDNAや血清、診療記録などを基に、オーダーメイド医療の研究開発が進められている。
>抗血液凝固薬ワルファリンの投与量を決められるという例を説明した。
>1ミリグラムの服用で十分な人もいれば、10ミリグラムで初めて効果を表す人もいる
知りたいのは、何が「十分」で何が「不十分」かということ。
そこが「あてずっぽう医療」にならない自信がおありなのでしょうか。
そもそも「あてずっぽう医療」という表現は、不適切であると思います。
>科学的に病気の性質を明らかにし、その人に合った、副作用がない薬を提供したいというのがこのプロジェクト」
副作用のない薬を探す前に、「科学的に病気の性質を明らかにする」プロジェクトをまず画策するべきだと思います。
副作用のない薬が「あてずっぽう」にならないためにも。
↑すいません。匿名投稿になってしまいました。。。
あつかふぇ先生
コメントありがとうございます。
こちらの方に研究結果の詳細がございますので、ご参照くださいませ。
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm
よろしくお願い申し上げます。
えーと。リンクがいまひとつ つながっていないようで。。。
あつかふぇ先生
すみません。
なぜか直接リンクが貼れないようです。
上記リンク先内の右上の部分に「日本語検索」という窓があります。
その中に「ワルファリン」と入力して検索していただくと
5番目に来る「臨床データと薬理遺伝学的データを用いたワルファリン投与量の推定」
という論文がそれに当たります。
恐れ入りますが、よろしくお願い申し上げます。
>VKORC1 ハプロタイプ群 A および B により,投与量にみられる違いの約 25%が説明された.
ということのようですね。
かなり「あてずっぽう」な気がしますが。。。。
失礼いたしました。1番目ではなく、5番目ですね。いずれにせよ、評価は変わりませんが。。。
>治療的抗凝固療法にワルファリン 21 mg/週以下,または 49 mg/週以上の投与を要した患者の 46.2%で,もっとも高い有益性が認められた.
つまり有益な確率は5分5分以下ということですね。
いちかばちかよりはましだと思いますが、
5分5分の確率でワルファリンをコントロールしている専門医はいないと思います。おそらく専門家なら最低でも90%以上の精度で思う値にコントロールできるのではないでしょうか。しかも遺伝子解析の結果が出る前に。
本当に有用なら、臨床試験で勝負すべき。
実際の臨床価値は、臨床を通してからでしか分からない。
今のような理論先行だけで夢を語るだけでは、アホの免疫理論の何の変わりもない。
大風呂敷を広げる必要はないので、極めて狭い範囲でも、極めて有用な結果を出せばよいだけのことです。
MRICで、中村研の信者が的外れなEBM批判をしながら、オーダーメイド医療を讃美していましたが、EBMの理解があれば、恥ずかしくて恥ずかしくて、穴があったら入りたくなることでしょう。
基礎研究から臨床研究に進めるには、本当に臨床と臨床疫学が理解できる人が仲立ちする必要があると思います。
中村先生に焦りがあるのではないのかと思います。
本当に有用なら、素人に訴えるまでもなく、玄人が飛び付きます。
横からすみません。
>あつかふぇ先生
「専門医」だけが使う薬であれば先生のお書きになっている通りだと思うのですが
ワルファリンは広く使われていませんでしょうか。
> Med_Law 先生
今回の中村論文は、「前向き」でないだけで
大規模臨床試験には違いないと理解していました。
ひょっとして認識を間違えていたでしょうか。
「最低でも90%以上」とした点をもう一度強調しておきます。
専門医なら99%以上の精度でコントロールできるでしょう。
一般的な家庭医でも99%の精度で行うことは簡単です。
たとえば、わたしは専門とはほど遠い外科医ですが、
99%以上の精度でコントロールできます。
1000歩譲って、一般的な臨床医であればすくなくとも「五分五分の当てずっぽうな方法」以上のコントロールが出来ると思います
>あつかふぇ先生
それは凄い!
ちょっとだけ気になりますのは
99%の精度に達するまでに何回のトライアルがあるんだろうということでして
1回目でドンピシャということではないですよね?
すぐバチっといくのなら
そのノウハウを共有できたら素晴らしいのでないかと思ったりします。
それとも既に共有されているんでしょうか?
確かにワルファリンは調節が難しい薬です。
投与開始時に過量になるとその後のコンプライアンスが悪くて大変なので、投与の目安があると嬉しく思います。
ただ、中村先生の御講演の論理を臨床で生かすためには1mgで済む人を何パーセント見つけられるかが重要です。10mg必要な人に1mg投与からはじめて、10mgまで加量していってもその間に次のイベントが発生することを経験したことがありません。でも1mgで済む人を遺伝子検査で99%スクリーニングできれば、患者も主治医もストレスを大きく下げることができるでしょう。10mg必要な人を当てる確率はどうでも良いのです。1mgで十分な人を見つける方法が重要です。
ワルファリンは開始時だけでなく投与中の効果の変動が大きい薬です。作用に影響を与える食事がたくさんありますし、生活パターンやストレスまで関係してきます。一方、安全域はあまり広くないのですが、これを超えても直ちに事故が起こるわけではないことも難しいところです。検査すると「えっ!」と思うこともありますが、患者さんは平気だったりします。もともと生活への制限は非常に困難な指導項目ですが、経験則からくる「大丈夫だろう」はコントロール不可能です。言い換えるとワルファリンの効果を分解酵素から推定することはかなり困難だと思います。
一方、当日の講演にあった抗がん剤の副作用についてはかなり正確に予見できるものが少なからずあると思います。おもな代謝経路は2-3種のものが多いですから。
あつかふぇ先生
ありがとうございます。
記事を書くにあたり、複数の内科の先生にワーファリンについてお伺い
したのですが、投与量について「すぐに決定できる場合もあれば、難しい場合もあり、かなり個人差がある」
というのが共通したご見解と受け取めました。
>専門医なら99%以上の精度でコントロールできるでしょう。
一般的な家庭医でも99%の精度で行うことは簡単です。
不勉強で申し訳ございません。
もし、こうした数字について書かれている資料等ございましたら
お示しいただけますと大変有り難く存じます。
自分の勉強のために拝読させていただければと思います。
Med_Law先生
ありがとうございます。
今回の記事には書いていないのですが、このワーファリン投与量の決定プロトコルについて、
中村教授らと日医大の先生方とが協同され、都立老人医療センターで臨床研究が進んでおり、
近く論文としてまとめられる予定と伺っております。
その中では、患者を低用量群(2mg)、中用量群(3mg)、高用量群(5mg)などに分けて投与したところ、「今のところ大きなずれは見られていない」とのことでした。
(恐れ入ります、これ以上の詳細は伺っておりません)
ふじたん先生
ありがとうございます。
大変勉強になります。
副作用のリスクを考えても、少ない投与量で済む方を見つける方が重要とのお話、よく分かりました。
こちらも、今回の記事は書いておりませんが、
中村教授によりますと、今回の論文には白人やアフリカ人などのデータも含まれており、
日本人より白人などの人種の方が投与量が多くなる傾向があるとのことです。
ただ、「日本人でも多量投与が必要な遺伝子を持っている方がおられるため、
その研究を始めているところ」とのことでした。
また、個人的にも、抗がん剤の副作用についての因子が解明されていくと
いいなと思っております。
>こうした数字について書かれている資料等ございましたら
常識や日常汎用している手技を検証する医学論文はありません。
問題の本質はどっちが「当てずっぽう」であるかということです。
限られた容量に関してのみ50%以下の正診率が得られる方法に頼るほど
「当てずっぽう」な医療をしている人間は、「現場にはいない」でしょう。
上でふじたん先生が書かれておられるように、ワーファリンは投与中の効果の変動が大きい薬です。ですから、わたしは一番冒頭のコメントにこう書きました。
>知りたいのは、何が「十分」で何が「不十分」かということ。
そもそもこの方法は何をゴールデンスタンダードにして「十分か不十分かを判断した」のでしょうか。そこを考えれば一番重要な問題点が見えてくると思います。
繰り返しますが
一般的な臨床医であればすくなくとも「五分五分」以上のコントロールが出来ると思いますし、それで日常臨床に「何の支障もありません」
最後に一言。
「とりあえず医療」だとか
「あてずっぽう医療」だとかいう表現は、
現場で一生懸命医療を行っているものに対する
侮辱の言葉と受け取られても仕方がないと思います。
しかもその根拠が、
限られた症例に対する「五分五分」以下の確率
ですから。