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めざせ健やか視生活!眼を長持ちさせよう。

視神経が失われ元に戻らない緑内障。

 皆さん、「眼球」の形を思い浮かべようとすると、ゲゲゲの鬼太郎のお父さん「目玉おやじ」の姿が浮かびやしないでしょうか。
 実際の眼球が目玉おやじの頭部と決定的に違うところは、後部からウドンのように視神経繊維の束が飛び出していることです。そして、いくら眼球が健全でも、視神経が途中で切れると物が見えなくなります。
 神経細胞や視神経繊維の特徴は酸素欠乏に弱いことと、いったん失われると元に戻らないことです。
 眼球の中では、房水という液体が毎分2.5マイクロリットルほど作られ、循環した後に同じ量が排出されています。房水の役割は、酸素や栄養の運搬と共に、内側から圧力(眼圧と言います)をかけて眼球を丸く保つことです。この眼圧によって、視神経につながる部分の血流が止められ、視神経が失われるものを「緑内障」と言います。
 緑内障といっても、一気に全部の視界が失われるものは稀です。黄斑部につながる視神経が残っているうちは少し視野が欠けるくらいで、自覚症状がほとんどありません。また片目が見えなくなってきても、その分をもう片方が補うので、なかなか気づきにくいものです。
 視野が残っているうちに気づけば、いろいろと進行を遅らせる方法があります。しかしいったん失った視野は元に戻りません。従って緑内障は早期発見・早期治療が最も大切です。診断にあたって最も確実なのは、眼底、特に視神経とその周囲をよく見てもらうことです。定期的に検診を受けるようにしましょう。
 緑内障と分かったら、まず神経への血流を止めてしまうほど眼圧が高くなってしまった原因が何かを確認します。房水の流れが機械的に詰まってしまった「閉塞隅角緑内障」なら、レーザーや手術で房水の流れを新たに作ってあげます。我が国でもっとも多い「開放隅角緑内障」なら、点眼薬で眼圧を下げます。
 眼圧への視神経の耐久力は個人差があり、正常な範囲と考えられる程度でも緑内障を発症してしまう例が、特に日本人に多くあります。これを「正常圧緑内障」と言います。この場合、「正常圧」をさらに低く抑えた方が緑内障の進行が遅くなることが知られており、いろいろな点眼薬を用いて低めにコントロールすることになります。
 そんなに眼圧が悪さをするなら、なくしてしまえばよいと思うかもしれませんが、眼圧が低すぎると眼がシワシワになってしまいます。また、網膜の裏側にある毛細血管の血圧とのバランスが崩れると、眼底出血したり、網膜はく離を起こしたりもします。何事もバランスが大切なのです。
 点眼薬では眼圧が十分に下がらなかった場合、白目の部分(結膜の下)に小さな穴を開けて房水を逃がす手術をします。ただし、手術は、最後の手段です。

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