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胃腸がおかしい! この病気かも。

組織が傷ついた? 働きが悪い?

 消化管が皮膚と同様に体の内外を隔てるバリアのようなものだと書きましたが、もちろん違うところも多々あります。
 皮膚が少々の呼吸と汗などの放出以外は外界と物質のやりとりをしないのに対して、胃腸は外から入ってくる飲食物に対して消化液を出し、消化したものを体内に取り込むという物質のやりとりを主にこなしています(06年8月号「胃腸のトラブル特集」参照)。
 静脈から栄養注入でもしない限り、人間はこの経路でしかエネルギー源を取り込めません。役割は重大です。
 また前回も説明したように、胃腸は「第二の脳」と呼ばれるくらい神経が集中しています。体外から変なものを取り込まないよう、センサーの感度を良くする必要があったと思われますが、お陰で何かあるとすぐ不快感を覚えることにもなります。胃腸に関して悩む人が多い一つの理由です。
 胃腸の調子が悪いという時、自覚症状としては、お腹が痛いか、便がおかしいか、ムカムカするか、嘔吐するか、それらが複合的に来るかだと思います。非常に多岐に渡り、そしてどれも困りますね。早く治ってほしいものです。
 しかし症状だけでは、一体どこがどうなっているのか、原因を絞りきれず、ぴったりの治療もできません。また癌のように、特に自覚症状なく発生しているものもあります。
 ということで医師は、迷った際には前回も説明したように、主に内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)で組織の様子を直接見て診断し、治療方針を立てることになります。
 その際、内視鏡で見て細胞や組織が傷ついていたり管が詰まっていたりと原因が分かる場合と、外見上は特に問題がなく働きだけが正常でない場合とに分かれます。前者を器質性疾患と言い、後者を機能性疾患と言います。
 器質性疾患の場合も、単純に組織が傷んでいて不快なだけの場合と、それが進んで機能まで損なわれている場合とがあり、当然のことながら後者の方が厄介です。
 器質性疾患で最もありふれているのは炎症です。その程度が重くなって粘膜が欠損し、傷ができたり穴が開いたりしたものを「潰瘍」と呼びます。
 両者は完全に別個のものというわけではなく、炎症を放っておくと潰瘍へと進行することがあります。また潰瘍が治りかけの時には炎症状態が見られます。
 他にもちろん、良性の腫瘍やがんもあります。慢性的な炎症や良性腫瘍の中には癌へと移行するものも見られます。ただし、これらが必ず癌になるわけではありませんし、前段階がないからといって絶対癌にならないというわけでもありません。
 機能性疾患の方は、かつてその多くが「気のせい」とか「心因性」とか言われ、生活環境や性格を変えなければ完治しないと考えられていました。最初にも述べたように胃腸の働きは精神状態の影響を強く受けるからです。しかし最近は、胃腸そのものやその制御をする神経に問題があり投薬などで治療できる例も多いことが分かってきました。

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