文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

メタボより怖い 慢性腎臓病CKD


どうやって早期に見つけるか
48-1.2.JPG
 CKDのステージはGFRの数値で定義されると説明しましたが、このGFRを計測するのは、かなり面倒です(推計値が使われます。コラム参照)し、またできることならば、GFRの落ちていない段階から手を打ちたいところです。ありがたいことに、腎臓の傷みを早めに見つけることのできる検査があります。
 糸球体が壊れる場合、一気に壊れるのではなく段階を踏むと考えられています。まずは、糸球体の中の微小な血管に傷がつき、その傷を修復する体の働きを超えて力がかかり続けると、やがて完全に壊れてしまいます。
 微小な血管に傷がついていないかは、血管壁の微小な傷でも通過してしまうアルブミンという小さなタンパクが尿中に出てきてないかで確かめることができます。微量アルブミンが出ているだけでGFRは落ちていない段階で治療すれば、進行を食い止めることが可能です。
48-1.3.JPG
 ただし残念ながら、一般的な健康診断では、微量アルブミンの尿検査は行われません。また糖尿病性腎症の疑いでないと健康保険も効きません。自費でも受ける価値はあると思われますが、その先にある心血管疾患のリスクとの関係=グラフ参照=を考えれば保険で負担しても社会的には、お釣りが来そうな気もします。
 ちなみに、もっと傷が大きくなり血管が完全に破れると、大きなタンパクも漏れ出てくるようになります。タンパク尿は腎臓の傷みが相当進んでしまっている証拠ですから、直ちに治療を始めないと、先に大変なことが待っているのですが、健診で見つかっても放ったらかしにしている人が多いようです。
48-1.4.JPG
 このほか、腎機能を調べる時によく用いられるのが、採血検査で測れる「血清クレアチニン」(コラム参照)です。
 また、尿タンパクや尿潜血などが見つかった場合、その原因を推定するために尿中の細胞を顕微鏡で見る「尿沈渣」という検査もあります。

 血清クレアチニンとGFR  筋肉が活動した時に老廃物として出てくるクレアチニンは糸球体で濾過され尿中に排泄されます。ところが腎機能が落ちてくると、濾しきれずに血液中に残るようになります。この血液中のクレアチニンを血清クレアチニン(S-Cr)といいます。この血清クレアチニンの値を下の公式に当てはめると、GFRの値を推計できます。インターネット上にも簡単に計算してくれるサイトがいくつもあります。ただし、これは推計。正確に測定するには24時間蓄尿してクレアチニン量を計測するクレアチニンクリアランスの値も必要です。
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ