文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

梅村聡の目 ① 相当に考えないと、地域で過ごすなんてあり得ない。


状況を把握していく

 たとえば、社会保障番号制度の導入は検討されていいと思うんです。所得だけでなく、状況も把握していくということですね。一人ひとりがどういう状態であるのか、今日見ていても、プライバシーよりももっと大事なことがありますよね。今日回った家を行政なり何なりが把握しているかといったらしてないですよね。ケアマネジャーさんが言ったのは、生活保護に落ちたら分かりやすいと。それがはっきり言うとおかしいんです。
 大阪は財政赤字もあって、打つ手が限られてきているところがあると。地方分権の考え方はいいんですけど、だけどそれをやればバラ色っていうのは嘘で、今日も障害者自立支援法の地域生活支援事業について、判定が市町村によって大きな格差があるという話が出ました。国民としてそういうものを受け入れられるんですか、と。これは、国民的にどこまでコンセンサス取れるかなんです。
 個人的な考えでいえば、今の日本は小さな政府だと思います。日本ぐらいの高齢化社会を迎える国はもう少し大きな政府になるはずです。負担も給付も。これから団塊の世代の方がいよいよ介護やリハビリも必要になります。これから20年の間は大きな政府にせざるを得ないんじゃないでしょうかね。その代わりある程度の負担で過ごせる社会というものをやらざるを得ないでしょうね。ライフイノベーションや何やだけで支えられる話じゃないですよ。今日見ていただいた現場はね。
 医療保険制度、介護保険制度の外側の部分を相当考えていかないと、地域で過ごすなんてありえない話でね。高齢者の経済問題です。生活保護に行くか行かないかのギリギリのところは、厚生労働委員会で扱っていれば済むという話ではないということです。
 今の厚生労働委員会というのは医療制度の話ばかりしてるでしょう。経済問題はどこでやってるかというと、財政金融委員会でやると。その意味では議論する場がないんですね。「税と社会保障の一体改革」はそういう話するところかなあと思ったら、消費税の話ばかりしてるでしょう。ちょっと違いますよね。
 今日のおばあちゃんの娘さんは、仕事休んでると言ってはったでしょ。ということは、国は彼女を納税者として逃してるんです。「ペイアズユーゴー(*)」と言いますが、今は医療費をトータル一緒にしてどこを削ってどこを増やすとか、介護も全部そうです。そうじゃなくて、あの娘さんがもし働いて税収につながったら、どっちが「ペイアズユーゴー」かという観点が出てくる。「ペイアズユーゴー」は国全体で考えるべき話です。
 国全体では税収が40兆ぐらいで、予算は92兆組んでいます。平成元年は両方60兆ぐらいずつだったんです。今の日本は92兆使って40兆しか返ってこないお金の使い方なので、それを直すのが先決でしょというのが普通の考え方。医療や介護にもそういう考え方を入れていくことが大事です。
*新規支出の要求に対して、歳出削減などで同額の財源を確保するよう求めること

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ