梅村聡の目 ① 相当に考えないと、地域で過ごすなんてあり得ない。
関西版創刊号に現場リポートと併せて掲載された『梅村聡の眼』の1回目。この日の現場で見たこと聴いたことを受けてのコメントです。
国は「在宅に行きましょう」と、医療も介護も、そっちの点数を優遇してきましたよね、社会保障国民会議のシミュレーションでも在宅は相当大きなパイですし、「税と社会保障の一体改革」の中でも病院から「地域へ、地域へ」の大合唱になっています。
反対の意見を今は言いにくいですけど、今日の現場を見て分かることがあります。入院しようと思っても経済力がなくてできない方、いましたね。それからお独り暮らしの方、最初はごみやしきで排泄物があったと。ケアマネさんが会議の時に、お骨の話もしてましたけど、本来の医療保険の中の医療、介護保険の中の介護、以外の面が非常に大きくなってきているんです。
日本は格差が広がってきました。若者世代の賃金の差だけでなくて、こういう現場にも来ている。今日もお金の話ばっかりでした。財布のことって、今まであまり言われてないんです。「診療報酬上げろ上げろ」「介護報酬上げろ上げろ」ということばかり。確かに大学病院や特定機能病院は、一息つけてよかったと思います。でもそれは、今日のあの方たちにとってはマイナス面に作用しているわけです。
介護給付を上げろと言って、民間のモラルのないところが入って巻き上げている状況もあります。でも、そういうものへの歯止めを変に入れようとすると今日回ったような人たちにしわ寄せがくる、そういうことですね。国会議員は割と簡単に「窓口負担1割を2割に」とか、「保険料の負担軽減を無くそうか」と言いますけど、今日の現場を見たら、発言や考え方もちょっと変わるんじゃないかなと思います。