文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

ポジティブ感情と認知症発症との関連

愛知県に住む65歳以上の高齢者1万4286人に、「高齢者用うつ尺度短縮版」15項目のうち以下5つの質問に答えてもらった後、4年間追跡調査した。
・今の生活に満足していますか
・普段は気分がよいですか
・自分は幸せなほうだと思いますか
・こうして生きていることはすばらしいと思いますか
・自分は活力が満ちていると思いますか
 追跡期間中に男性333人(4.9%)、女性468人(6.3%)が認知症を発症した。
 分析の結果、調査開始時点で「はい」と答えた項目が0個だった高齢者に比べて、「はい」が一つ増えるごとに、認知症を伴う要介護認定リスクが、男性で13%、女性で21%低下。5項目すべてに「はい」と回答していた場合、「はい」が0個だった高齢者に比べて、男性で約50%、女性で約70%、認知症リスクが低くなる計算だ。なお、認知症の発症に関与する年齢や健康状態、生活習慣、社会関係といった条件は、同じとみなせるよう調整してある。

※厚労省「認知症高齢者の自立度判定基準」ランクⅡ(たびたび道に迷ったり、一人で留守番できないなど、日常生活に支障が出るレベル)以上による要介護認定。



ストレス対処能力「SOC」

近藤教授の解説によると、SOCは、主に3つの要素から成ります。
●有意味感:人生を意味あるものと感じていること。自ら価値を認める領域には困難もいとわず関わる一方、領域外の問題には開き直ることができる。
●把握可能感:自己や環境に起きている出来事を把握できるという感覚。自己も世界も、秩序や法則に基づき一貫して予測可能であると信じている。
●処理可能感:人生の困難は対処可能な試練で、乗り越えられるという感覚。実現不可能な出来事や不安、悲しみにも、囚われ続けず進めると信じている。
 「数々の研究から、SOCや自己コントロール感が高いと健康度が高く、ストレス緩和政策や自律神経系、内分泌系、免疫系、健康行動などが好ましい人が多いことも分かっています」と近藤教授。
 健康に恵まれている人は、ストレス源が少ないというだけでなく、次々やって来るストレス源にうまく対処する「生き抜く力」が大きいと考えられるのです。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ