健康保険、介護保険、年金手帳を一つにする「社会保障カード」の検討会
こうした中、今回の検討会でようやく作業班から具体的な運用の仕組みを盛り込んだ「医療等の現場での利用を念頭に置いた社会保障カード(仮称)の活用シナリオ」が提案された。
■「活用シナリオ」の中身は?
(1)社会保障カードのつくり
社会保障カードは、医療保険証、介護保険証、年金手帳の機能を持ち、従来の健康保険証のように、医療機関側が患者の保険資格の確認などに使うものとして提案されている。
作業班が示した「活用シナリオ」では、カードの券面には、最低限の情報としてカードを持つ本人の氏名と生年月日が記載される。さらに、ICカードが機能しない場合でも、現状と同様の確認作業をした上で医療・介護サービスが提供できるよう、医療と介護の共通番号として個人に割り振られた「保健医療番号」の導入が提案された。ただ、番号の扱いについては「情報の一元的管理・プライバシー侵害に対する不安」を懸念し、保健医療番号の情報はICチップに収録するのではなく、券面に印刷するか、別紙に記載するとの扱いにとどめた。また、保健医療番号は本人の希望があれば、変更できるとした。
(2)医療機関での使用方法
自宅のパソコンからの資格確認や、医療機関に設置された自動受付機での受付を行う場合などは、本人が端末に暗証番号を入力して認証を得られれば、情報を中継するデータベース(以下、中継DB)にアクセスできるようになるとした。次に、中継DBが医療保険者の持つデータベースに患者の資格情報を問い合わせると、保険者側から中継DBに回答が送られ、医事システムに転送されるという仕組みだ。
本人が暗証番号を入力できないような場合は、医療機関の職員が本人のカードであることを確認した上で、システムにログインし、「操作者」であると認証されれば同様に資格情報が得られるとした。
不正な資格確認が行われないように「毎回の確認が望ましい」としているが、そうできない場合は前回の確認で使った保健医療番号の情報で、資格の有無や記号・番号などの情報を得られるようにする仕組みも検討すべきとした。