健康保険、介護保険、年金手帳を一つにする「社会保障カード」の検討会
■見えない各施策との連携-中間とりまとめへのたたき台
今回、事務局側は報告書の取りまとめに向けてのたたき台となる、「報告書取りまとめに向けた検討メモ(案)」を提示した。政府が進めている電子行政と社会保障カードとの連携や、カードの仕組みについてまとめている。
検討メモ案では、国民が必要とする情報を、市町村や健康保険組合などさまざまな主体が分散して持っているためにアクセスしにくい現状があると指摘。国民にもサービス提供主体にも「多大な労力・コストが発生している」とした上で、必要な情報の入手や手続きを一か所で完結することができる「ワンストップサービス」の実現が必要とした。
また、医療機関や保険者などの情報化やデータの標準化を進めていくことなどが必要として、社会保障カードの位置付けとして「差し当たり、年金記録等を簡便に確認でき、年金手帳、健康保険証、介護保険証としての役割を果たすものとして検討している」と示した。
社会保障カード導入の効果として▽自己情報の容易な入手・活用▽利用者への保険者などからの情報提供▽申請などに伴う利用者や保険者の負担軽減▽医療機関の事務負担軽減▽制度や保険者等をまたがる手続の効率化▽自己情報の管理・安全性の確保-などを示した。
電子私書箱や次世代電子行政サービスなど、電子政府関連施策との連携については、「電子私書箱プラットフォーム」について、社会保障カードの中継DBと似た機能を持つものと指摘したが、「重複した投資を避け、共通の基盤として構築することを目指すべき」との記載にとどまった。
また、カード導入のコスト面については、医療保険資格をオンラインで確認できるようになることで、保険者で年間約160億円、医療機関等で年間約120億円の「効果」があるとの試算も示した。